ゴーン元日産会長の保釈劇 仏メディアの報道は 日本の視点、違和感も
公開 : 2019.03.11 18:10 更新 : 2021.10.09 23:31
仏メディア、保釈どう伝えた?
フランスのメディアのこの保釈の様子をどう伝えたかというと、意外なほど簡潔に済ませていた。
ル・フィガロ紙が、ナポレオンが脱獄時に労働者の衣服を借りた逸話になぞらえていると、日本の新聞がわざわざ報じていたが、正確には脱獄したのは甥のナポレオン3世で、政権を掌握して皇帝になる以前のエピソードだ。
AFPと共にフランスのメディアで唯一、獄中インタビューを実現した経済紙レ・ゼコーも、労働者姿に扮した旨を描写していたものの、元のビジネスマンとしてふさわしい姿に戻るまで、帽子とマスクで自らののイメージを守るのだろうと、ツイッターで分析している。
無論、ゴーン元会長の労働者姿と、都内で報道陣のヘリコプターやバイクが起こした追跡騒ぎの大きさについては伝えられているが、もっと肝心の要点が3点ある。
1.ひとまず108日で切られた拘束日数の記録についての分析
2.ゴーン元会長が今後は自己弁護と釈明に全力を挙げると、短信とはいえ宣言した事実
3.住居の出入りするひとびとをカメラ監視したり、インターネットへのアクセスを弁護士立ち合いとするなど、保釈のために検察から課せられた条件がゴーン前会長の生活をどのように制限するか、その詳細な説明。
いってみればゴーン前会長が、通常の民主主義的な法治体制の下で等しく享受すべき、基本的人権としての自由が、どのような侵害や制限を被っているか、権力が正しく運用されているか、そこを観察しているのだ。