初試乗 フォルクスワーゲンTクロス 実直なコンパクト・クロスオーバー

公開 : 2019.03.14 18:10  更新 : 2019.03.21 20:18

輝く乗り心地やハンドリング

それ以上に、このクルマの優れたドライビングの質感は、より明確に輝いている特徴だといえる。今回の試乗車は115psの1.0TSIだったが、このクラスのクルマでは類を見ないほど快適な乗り心地で、路面からの振動や騒音もしっかり遮断する仕上がりを得ている。またハンドリングも、ヴォルフスブルクならではの安定した、予見通りの不安感のない挙動を示してくれる。

もちろん熱中してしまうような、若々しくエネルギーに溢れた、わかりやすい設定がなされているわけではない。20代の若者がサーフショップへの足にするのではなく、どちらかといえば定年を迎えた夫婦が、ガーデニング用品を買いに出かけるのに向いている性格とでもいえようか。実際の利用シーンにはとても調和することだろう。

足回りの衝撃吸収性も良く、街なかでの走りも穏やか。コーナーや駐車場などでも扱いやすく、運動性能にも不足はない。クルマの反応も自然だから、とても直感的で運転しやすく感じる。フォルクスワーゲン製の1.0ℓの3気筒ガソリンターボ・エンジンも充分なトルクがあり、力強く感じられるだけでなく、回転域の柔軟性にも優れている。

ただし、ターボエンジンの性格としては、回りたがりというわけではなさそう。時々レスポンスが悪く感じられ、イザという時にややもたつく印象が垣間見られてしまう。それでも洗練性は充分に高いうえ、穏やかにクルージングしている時なら、17km/ℓ以上の期待を上回る優れた燃費も発揮してくれるだろう。

全般的に好印象だが、実際に中間グレードのクルマを英国の一般道で走らせるまでは、最終的な結論を述べるのは避けておきたいと思う。実際のオーナーにより近い目線で、クルマを評価することが大切だ。

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