意匠と技術　★★★★★★★★★☆

このTロック、どうみてもフォルクスワーゲンだ。それを見誤ることはまずないだろう。低くワイドなグリルは、新型ポロやマイナーチェンジ版ゴルフ、最新のティグアンなどと共通するモチーフ。それが、ブランド内でも独自性を打ち出すデザイン要素の数々とともに盛り込まれている。

フォルクスワーゲン・グループの中型モデルほぼすべてがそうであるように、TロックもプラットフォームはMQBを採用し、ミドル級クロスオーバーの中では、比較的コンパクトに仕立てられている。4234mmの全長は、ティグアンより252mm、アテカより129mm短い。ホイールベースをみても、アテカよりショートだ。

コンパクトさは、クロスオーバーとしてはスポーティで、ルックスも購買意欲を刺激する点でも勝るモデルという、フォルクスワーゲンが目論むTロックのポジショニングの一環である。カーブしたルーフラインや傾斜したCピラーは、このクラスの先駆者であるキャシュカイより、第２世代にあたるC-HRやQ2に通じる特徴だと言っていい。また、比較的ワイド＆ローなスタンスは、このセグメントではいまだ稀有な運動性を示唆する、メーカーの開発意図を裏切らないものだ。

エンジンラインナップは4機種でスタート。ガソリンは3気筒の1.0TSI・115ps、4気筒の1.5TSIエボ・150psと2.0TSI・190psの計3機種。ディーゼルは2.0TDI・150psの1機種のみだが、今後は1.6TDI・115psが追加される予定だ。

基本的には前輪駆動だが、2.0ℓのガソリンとディーゼルには4モーションことフォルクスワーゲンのパートタイム4WDシステムが標準装備として組み合わされる。多板クラッチを用いたそのメカニズムは、駆動力をほとんどの場合に前輪へ伝達し、前輪トラクションの低下もしくはドライブモードの選択に応じて後輪へも分配するものだ。

トランスミッションはほとんどのモデルで6段MTを標準搭載するが、2.0ℓガソリンは7段DCTとの組み合わせ。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアは搭載エンジンによりトーションビームかマルチリンクとなる。テスト車が装備していたアダプティブダンパーは、オプションアイテムだ。

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