内装　★★★★★★★☆☆☆

Tロックがもっとも広い室内を備えるクロスオーバーでないことは、デザインからはっきりわかる。着座位置は一般的なハッチバックより高く、荷室容量は4WDモデルではわずかに減少するが、それでも通常の5ドアでは望み得ないくらい大きい。とはいえ、好ましいクルマの一台に挙げることはできるだろうが、その高められた実用性を一番のモチベーションとしてゴルフからの乗り換えを検討することにはならないだろう。

それでも、前席スペースはやはり普通のハッチバックより広さに勝る印象で、視認性は全方位とも良好。ドライビングポジションがやや寝気味でも、きっちり身体を立て脚を曲げた姿勢でも、操作系の位置も間隔も上々なのは、フォルクスワーゲン全車に共通するところだ。

後席には、平均的な体格の大人なら十分なスペースがあり、それより背が高くてもやや脚を開けば済むだろう。これより広いライバルは多いが、パノラミックサンルーフを装着しても頭上が圧迫されないのは評価できる。ちょうど、後席乗員の頭上の直前までがガラスルーフになっており、背の高い乗員であっても、天井の内張りに髪が触れるようなことはないだけのスペースが確保されているのだ。

広さで訴求する代わりに、豪華でモダンな雰囲気の演出を図ったフォルクスワーゲンの狙いは、上首尾だといえる。SELグレードでは、アクティブインフォディスプレイことデジタル計器盤や、フラッシュサーフェスの8.0インチタッチパネルを用いるインフォテイメントシステムを標準装備。帯状の控えめなアンビエントライトも、先進的でハイテクなイメージを静かに主張する。

対してドア周りは、ややプレーンで平凡に感じるキャビンにあって、飾り立てるのはうわべを取り繕うだけだという声にも配慮したのだろうか、内張りの最上部に硬くややテカりのある素材を用いている。日産マイクラでさえ、ここにはソフトタッチのスラッシュモールディング材を採用している事実を考えれば、ちょっとばかり驚くところだ。同じく、ドアハンドルや膝より下のパネルも、もう少しコストをかけられなかったものかと思わされる。

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