2代目レンジローバー・イヴォーク 新型を試乗評価 新アーキテクチャ採用
公開 : 2019.03.15 10:10 更新 : 2019.03.15 22:48
走りは退屈ながら、洗練の乗り心地
そんな中間グレードのP250だが、走行性能は若干退屈なもの。イヴォークの軽くはない車重が関係していることは明らかだ。確かに充分速いことは間違いないのだが、ホットハッチ程度の250psの最高出力に、1800kgを超える車重だから、胸をすくような満足感があるわけではない。積極的に走らせたいと思っても、折角の9速ATを充分に活かせるパワーを持ち合わせていないし、一般道で気を使わずに運転ができるほどのトルクが得られていないことも、残念に感じる部分。
ATで「D」を選択し、深くアクセルペダルを踏み込んでキックダウンさせると、常に2段ほどシフトダウンしている様子だが、「S」にしていてもその傾向は見られる。どちらもATは変速する際にやや躊躇しているように感じられる部分も改善してほしいところ。9速もあるATは往々にして似た傾向があると読者の皆さんはお考えかもしれない。確かにそうだが、より低速トルクの太いディーゼルエンジンと比べてしまうと、指摘せずにはいられない。
反面、たとえエンジンの回転数を高めても、外界からの隔離感の高いイヴォークは非常に静か。SUVというエクスキューズなしに、広義的に世界水準の洗練性を確保しているといえるだろう。たとえ標準装備のパッシブダンパーでも、価格が2倍ほどするラグジュアリー・サルーンに負けないほど、路面からの衝撃を滑らかに吸収する。しかも、リムジンのように単にソフトなわけではなく、この価格でありながら、驚くべき衝撃吸収性と柔軟性を持ち合わせている。
スプリングに乗っかるボディが上方向に持ち上げられるような、大きな路面の起伏であっても、垂直方向のボディの動きは漸進的。細かな入力は気づかないレベルにまで丸められ、状況を問わず、白眉のボディコントロール性を獲得しているといえるだろう。