初試乗 最新992型 ポルシェ911カブリオレ・カレラS クーペに迫る
公開 : 2019.03.18 10:40 更新 : 2019.03.22 18:32
魅力を引き出すには、少しの本気が必要
常識的な速度域であってもボディは非常に落ち着いているうえに、絶対的なボディコントロール性と安定性に加えて、不足のないグリップ力とトラクションを実感できる。PDKはなめらかに変速をこなし、フラット6の音も少し鈍重なものだから、ややもすると911を運転することを忘れてしまうほど。これまでわれわれが知っていたリアエンジンのスポーツカーとは異なる味わいで、屋根を閉じておとなしく運転していると、少しありきたりなクルマにすら感じてしまう。
カブリオレの本来の魅力と性格を引き出すには、ドライバーは少し本気になって変速をコントロールし、やはりソフトトップを開く必要がある。パフォーマンスを引き出せばその能力はとても優れており、苦労することなく高速で走れるだけでなく、懐が深く喜びにあふれたドライビングを味わうことができる。911のあるべき姿のとおりに。ドライバーの琴線に911が触れるには、わずかな努力が必要となるのだ。
オプションとなるスポーツ・エグゾーストシステムを装備していたとしても、2基のターボが聞かせるブローオフ音と高音域の響きは楽しめるものの、エンジンが発する音響はいまひとつ。しかし、エンジンは力強くレスポンシブで、パワーデリバリーもリニア。加えてトップエンドまで引っ張る楽しさも、クーペ同様に持ち合わせている。
8速となったPDKは、ATモードのままだと比較的早めにシフトチェンジをしてしまう。少しの本気の走りを楽しむには、ドライバー自らが変速を積極的にした方が良いかもしれない。