スバルBRZ 2.0プレミアム

公開 : 2012.03.29 12:45  更新 : 2017.05.29 18:42

■どんなクルマ?

一昨日、スティーブ・サトクリフがスペインのサーキットでGT86をテストしたレポートをお届けした。今回はスバルの番である。

われわれはスバルBRZの最終的なプロダクション・バージョンを一般路上で1日中テストする機会に恵まれた。われわれは、このリア・ホイール・クーペが、如何に心地良く、実践的で、快適で、一般的に使用でき、サーキットを離れてもなおエキサイティングなのかを語らなければならない。このクルマの核心については、広く知られていることだろうが、それでもなお語り尽くせないこともある。あなたが詳細を知りたければ、このレポートをぜひ最後まで読んで欲しい。

われわれは3つのことを話さなければならない。

第1に、「トヨバル」プロジェクトは、トヨタの多くの資金を供給することでスタートし、そのデザインとスタイリングはその巨大な資本が決定したが、その設計と生産はスバルによって行われているということだ。

第2は、スバルの特徴的なボクサー・エンジンがその心臓に搭載され、それがこのクルマのキャラクターとパフォーマンスを決定しているということ。

第3は、僅かに197bhpのノーマル・アスピレーション・エンジンではあるが、BRZの車重が1239kgでしかないということだ。その車重はポルシェケイマンRよりも少なく、日産370Zよりも300kgも軽い。ロータス・エリーゼフォルクスワーゲン・ゴルフGTIと比べても、パワー・ウエイト・レシオでは勝る。それは、パフォーマンス・カーのファンにも、パワーの数値だけが重要ではないということを知らせることとなる。

■どんな感じ?

こう言ってしまうのはまだ早いのかもしれないが、テスターの意見ではあるが、このクルマはホンダNSX以来のベスト・ドライバーズ・カーである。これは、日産GT-Rを含んでの話だ。もちろん、GT-Rはハーフ・スロットルでBRZを打ち負かしてしまうかもしれない。しかし、そこにはBRZのような繊細さや活発さはない。

BRZはドライバーを興奮させる稀な能力と、安定したハンドリング、そして週末を忘れさせるほど熱中させるものを持ったスポーツカーだ。更に良いニュースは、一般路上でもその魅力がいささかも失われないということだ。その素晴らしいフィードバックとレスポンスを持つステアリングは、きっと指先にまで印象として残るはずだ。見事に磨かれたブレーキ・ペダルのフィーリングと、バランスの良いシャシーが、万全の信頼を以ってコーナーに侵入することを約束してくれる。そして、緩みのないドライブとれいんは、コーナーからの立ち上がりにおいてBRZに瞬時にトラクションを与え、夢中にさせるようなコーナリング姿勢を保って脱出させてくれる。そして、コーナーから立ち上がった後、BRZはぞくぞくするようなパワーを7000rpmのパワー・ピークまで発揮させる。しかし、そのスピードは決して反社会的ではない。

BRZは、同じ価格帯の若干のクルマよりは速くはないかもしれない。しかし、それらシグナル・グランプリに適したクルマよりも最新の、そして成熟したパフォーマンスカーである。

特に中低速域のトルクが厚いことも印象的だった。ホット・ハッチのように2速、3速ギアでもそのパフォーマンスを100%引き出すことができる。また、その状況下においても恐怖感はない。そして、エンジンのレスポンスはクイック且つ正確に反応する。

BRZの素晴らしい点は、その低い重心にもある。それは460mmという値で、マツダMX5よりも低い。従ってロールが少なく、太いタイヤやホイールも必要としない。また、固いサスペンションも必要としない。それでいてダイナミックな挙動が約束されるのだ。それが、気持よく静かで良い乗り心地にもつながるのである。

BRZは「トヨバル」の兄弟車よりも安定したシャシー・セットアップで、大荒れの路面ではさすがに居住性に影響を及ぼすものの、総じて素直で、長距離走行でもマナーは良い。

更にBRZの品質の良さも賞賛されるべき点だ。アウディTTプジョーRCZよりも広いリア・シートがそこにはある。もちろん、そのサイズは縦置きエンジン、リア・ホイール・ドライブのクルマであるから決して大きくはない。ソフトタッチのダッシュボードや、感覚的でモダンなスイッチ類や、赤いステッチが入った部分的に革の使われたシートのクオリティも良い。とはいうものの、部分部分に安い光り物が使われているのはちょっと残念なことだ。それらの光り物は少なければ少ないほど「豊か」な感じがするはずだ。とは言え、インテリアは水準以上の仕上がりだである。

■「買い」か?

BRZとGT86、どちらを選ぶべきか。それは完全に個人的な趣味に寄ろう。

BRZのシャシーは、吸収性があって普段の使用にも適用している。一方、GT86のシャシーは、初期のトラック・テストでは若干荒々しいサスペンション・チューンがテスターによって指摘されている。とは言え、2台のクルマは大部分においては同一だ。BRZもGT86も、サーキットでもヒルクライムでもそして田園地方を旅行するにも最適だ。週末のトランスポーターとしても使える。

今年終盤に発売が開始されることになるが、その時までに円の価値が変わらなければの話だが、その価格は25,000ポンド(328万円)を切ってくるはずだ。その間、他の25,000ポンドのクーペに目が行くかもしれないが、手に入れるまで耐えることに十分な価値があるクルマと言えるだろう。

(マット・サンダーズ)

スバルBRZ 2.0プレミアム

価格 26,500ポンド(350万円)
最高速度 225km/h
0-100km/h加速 7.6秒
燃費 12.8km/l
Co2排出量 181g/km
乾燥重量 1239kg
エンジン 水平対向4気筒1998cc
最高出力 197bhp/7000rpm
最大トルク 20.9kg-m/6400rpm-6600rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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