変化が求められるF1 三強の現状、いかに崩すか 元F1ドライバーの解説者に聞く
公開 : 2019.03.21 11:50
大きな差は資金力
「誰かがこの壁を乗り越えたり壊したりしない限り、メルセデス、フェラーリ、レッドブルでなければ望める最高の結果は7位です。今のF1はふたつのクラスがあるようなもので、昨年のニコ・ヒュルケンベルグは『Bクラス』のチャンピオンといって良いでしょう」
これを聞いて思い出したのが1987年のシーズンでF1にクラス制が導入されたことだ。総合選手権とその中にノンターボカテゴリが作られ、ジョリオンの父であるジョナサン以外にジム・クラークの優勝を妨げられる者はいなかった。
「現在、4位のチームから3位にのし上がるためには、少なくとも2倍の予算が必要です」パルマーは続ける。「そのうえ、トップ選手はさらに速いのです。昨年のフランスグランプリが良い例です。ベッテルとボッタスが1周目に絡み、どちらもピットインして前線から離れることを余儀なくされました。しかし、何周もしないうちに前線にまで戻ってしまったのです」
彼のいうことはもちろん正しい。壁の存在と変化の必要性を痛烈に感じさせるのが、メルボルンでのグリッドの顔ぶれだ。ここ6年の間、メルセデス、フェラーリ、レッドブル以外のチームでグリッドを獲得したものはいないというのはバカげた話だ。
「すべきことは多くありますが、まずは予算を公平にするところからです」とパルマーはいう。「そうすると、フェラーリやメルセデスのように負ける可能性が出てくるチームはこのアイデアが気に入らず、撤退を盾に脅すことも考えられます。そのときは黙って撤退させれば良いのです。競技の参加者が統治するスポーツなどありません。もしレギュレーションに従わなければ、彼ら抜きでやったほうが良いスポーツになるでしょう」