ロードテスト ジープ・コンパス ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2019.03.31 09:50
乗り味 ★★★★★★☆☆☆☆
コンパスのペダルとシフトレバーが与える曖昧で精密さに欠ける印象は、あまりにも押さえの利かない初期ボディコントロールにも共通する。高速道路やA級道路、速度域の高いB級道路でさえ、ピッチやヘッドトスが起きるほどルーズだ。どこを走っていても、多少ながら快適性が乱され、落ち着きのなさや運動性の粗さを感じさせる。
おそらくそれは、ジープがこのクルマに与えたフリークエンシー・セレクティブのせいだろう。このダンパーは4本ともツインチューブ構造で、速い入力を受けると、圧力を受けたオイルがあらかじめそのために用意された経路を通ることで硬めのセッティングに切り替わる。実際の路上では、しなやかさや支えを失ったようには感じられず、限界域でコントロールを失わせるソフトなプライマリーライドやハンドリングを助長することも回避している。とはいえ、乗り心地のチューニングは、もっとタイトにしつけられたこのクラスのアベレージに比べれば、やや洗練度が足りない印象を受ける。
ステアリングもまた、似たような傾向がある。ややフワフワした手応えで、切り始めに曖昧さが感じられるのだ。ただし、切り足していけば徐々にロードフィールは増していき、この点は改善していく。ノーマルモードでも常にややオーバーアシスト気味なのだが、駐車時のような極低速域ではさらに軽く思える。ここ10年あまりのフィアット車をはじめ、いまやFCAの各モデルに装備されるパーキングモードは不要なほどだ。
ボディコントロールはゆるく、直進性も物足りないので、スムースで直感的なドライビングはややしづらいのだが、それらがロードホールディングに影響することはない。いくつかの競合モデルと比べれば、コンパスのロールは確かに大きいが、コーナー中盤での踏ん張りには安定感があり、バランスのとれたグリップレベルと優れたスタビリティを保っている。トラクションとスタビリティの電子制御デバイスと、グリップしているタイヤへトルクを分配する4WDシステムの働きもあり、ハイペースのコーナリングも怖くない。ただし、過信は禁物だ。