ロードテスト ジープ・コンパス ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2019.03.31 09:50
結論 ★★★★★★☆☆☆☆
「オンロードSUV市場の一般的な基準からみれば、価格は高く、出力は低く、粗さを感じる」
欧州市場での成長著しいコンパクトSUVセグメントにおける熾烈な競争は、ジープにも、その親会社であるフィアットにも好影響を与えたようで、コンパスが先代から大きな進歩を遂げたことは疑うべくもない。とはいえ、セールスチャートでクラストップに輝くことはなさそうだ。
このサイズのSUVなら、キャビンに最大級の広さを期待されることはまずないが、それでもコンパスの実用性はせいぜい平均どまりといったところだろう。トルキーだがうるさいディーゼルエンジンは、十分にライバルと張り合えるパフォーマンスを発揮し、乗り味はまずまずだが、プレミアムブランドに求められる運動性の仕上がりには欠けている。オフローダーとしての能力を考えても、抜きん出ているとはいえないまでも強力だが、おそらくは夢中になれるほどではない。
また、ほかのコンパクトSUVが大成功したのは、兄貴分の豪華さをより低い価格で手に入れられたからだ。ところがコンパスは、高価格でありながら、インテリアにはFCAグループのより安価なモデルに見られる装備が用いられている。商品性が人気を左右するオンロードSUV市場においては、いささか平凡な印象を与えてしまうだろう。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
元気のあるデザインやよく知られたブランドにより、レネゲードは成功を収めた。しかし、コンパクトSUV市場はより完成度を高めたクルマが群雄割拠している。個人的には、コンパスがそれらを蹴散らせるとは思えない。
サイモン・デイヴィス
ジープの最近のモデルには、隠しテーマが見て取れる。レネゲードでは、フロントウインドウのフレームにウィリス・ジープのシルエットが描かれていた。コンパスは、リアウインドウに大蛇だかネッシーだか、とにかくその手のモンスターが這っている。
オプション追加のアドバイス
19インチホイールは見栄えがいいものの、700ポンド(約10.5万円)払って乗り心地を悪くするのはオススメしかねる。フロントのベンチレーテッドシートは350ポンド(約5.3万円)で、長距離ドライブでの快適性を高めてくれる。HIDヘッドライトと自動ハイビームは、ヴィジビリティパッケージに含まれる。
改善してほしいポイント
・インテリアにもっとコストをかけてほしい。安っぽいスイッチ類は、できるだけなくしてほしい。
・乗り心地とハンドリングのチューニング見直しに時間を費やしてほしい。
・もっと静かで、燃費性能にも優れた量販ディーゼルエンジンの搭載に期待したい。