比較試乗 テスラ・モデル3 パフォーマンス vs BMW 330i Mスポーツ

公開 : 2019.03.30 09:50

最高のレイアウト 最高のレスポンス

対照的に、3シリーズのキャビンは、操作を覚えるのに何度もディーラーに通ったり、何時間も費やしたりする必要はなく、実際の路上における使い勝手の良い最高のレイアウトとは、決してデザイナーが住む部屋のように、何もないものにはならないということを思い出させてくれる。

過去10年、英国版AUTOCARでもEVを数多く取り上げており、驚異的なレスポンスと不気味なほどの静けさ、低速でのトルク感といったその運転感覚が、いかに独特なものかはすでにご存知だろう。だが、モデル3を330iと真正面から比較してみると、その認識はある意味正しいものの、ある意味まったく的外れなものが含まれていたことに気付かされる。

アムステルダムのような欧州の主要都市の混雑した路上で、本領を発揮したモデル3パフォーマンスについて行けるような存在は3シリーズにはない。スーパーバイクであれば何とか可能かも知れないし、進路変更が必要なければカタパルトでも大丈夫だろう。

ドライバーがアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から始まる、テスラのモーターが発揮する本物のシームレスな加速は、EVとしても驚異的なものだ。モデル3にはふたつのドライブモード、スポーツとチル(インスタ世代向けだ)が設定されており、スポーツを選択すれば、右足首の角度に応じたモーターからの素早いレスポンスを味わうことができる。

その反応の早さは、過剰とも言えるほどであり、何気なく1cmほどアクセルを踏み込み過ぎただけで、ドライバーは血気盛んな若者に間違えられることになる。このクルマが最大トルクの半分を発揮するのに、瞬きほどの遅れも感じさせることはなく、ラフな計算だが、50%のトルクを発揮させるのに必要なアクセル開度は、そのアグレッシブとも言える設定のお陰もあって、わずか25%ほどで十分なのだから、どうやら「イカした」モデル3オーナーになれそうだ。

対照的に、330iで信号待ちからスタートする場合、クルマが動き出すに十分なトルクが発揮されるまで、しばらく待つ必要がある。ブレーキペダルを離してからエンジンがスタートし、その後クランクシャフトが回転上昇を始め、ギアボックスがロックアップする。さらに、タービンブレードが回り始め、ようやく3秒か4秒前にドライバーが命じたとおりにクルマが動き出すことになる。

これが、EVとほぼすべての最新エンジンモデルとのドライビングにおける最大の違いであり、この一瞬と数秒の戦いは、常にではないものの、しばしば実感させられることになる。

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