舞台は郊外　優れたドライバーズカー

市街地を出て郊外に向かうことにしよう。ダイレクトドライブと組み合わされるモデル3の電気モーターだが、330iが車速を伸ばしてくる80km/h辺りでトルクが落ち始め、その後、この2台のフルパワーに至るまでのフィールはほとんど同じようなものとなるのだから、EVの明らかな利点というのは、ほぼそのペダルレスポンスだけになる

一方、高速道路では、より静かで洗練されたクルマに感じるのは330iのほうだ。もちろん、テスラのパワートレインの方が静かなものの、BMWはキャビンの優れた遮音性によって、その不利を補っている。

さらに、モデル3ではそのフレームレスドアと広大なグラスルーフがもたらすウインドノイズも弱点と言えるだろう。長距離運転でさほど気になる訳ではないものの、それでも、その存在を感じないわけにはいかない。

では、ハンドリングもBMWのほうが優れているのだろうか？　率直に言えばそうだが、それでも、300kgもの重量差から予想するほどではなく、この点はテスラのダイナミクス性能を褒めるべきだろう。

330iのコーナーと不整路面における落ち着きは驚くべきレベルに到達している。切り始めのダイレクト感ではモデル3に一歩譲るものの、それでもそのステアリングはより一定しており、コーナーリング中のグリップにも勝る。

さらに、アクセルオンでコーナーから脱出するような場面でも、よりニュートラルでドライバーとの繋がりを感じさせ、どんな時もそのハンドリングは正確でコミュニケーションにも溢れている。

一方のモデル3は330iよりもわずかにロールが多く、つねに高いシートポジションを意識させられるとともに、ボディの動きを抑えるにはより積極的な操作が必要となる。乗り心地は快適だが、結局のところ、市街地以外では、明らかにBMWのほうが優れたドライバーズカーだと感じさせてくれる。

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