比較試乗 テスラ・モデル3 パフォーマンス vs BMW 330i Mスポーツ

公開 : 2019.03.30 09:50

時期尚早 今後に期待

では、どちらかを選ばなければならない時、こうした違いは決定的な要素になり得るだろうか? テスラはその電気モーターとゼロエミッションという性能によって、すでにレースを半分ほどリードしていると考えるのであれば、それだけでモデル3を選ぶ十分な理由となるだろう。

一方、徐々に状況が改善されているとは言え、EVには大きな制約が残されていると考えるのであれば、テスラは検討の対象にすらならない。結局のところ、この問題は使用環境に大きく影響されるため、すべてに当てはまる正解など存在しないのであり、それぞれが結論を出す必要があるのだ。

それでも、多少のアドバイスはできるかも知れない。さまざまなルートと運転方法で7時間から8時間をともに過ごした結果、モデル3は4.5km/kWhというエネルギー効率を記録しており、75kWhというバッテリー容量を考えれば、その航続距離は330km以上を十分確保することができる。

速度を落として省エネ運転に徹すれば、航続距離480km以上も可能だが、その場合、つねに80km/h以下をキープする必要があるだろう。だが、これは20インチの高性能タイヤを履いたパフォーマンスの数値であり、ロングレンジであれば、米国での実績から10-20%の上積みが期待できることは指摘しておく必要がある。

それでも、モデル3よりもはるかに安価なプライスタグを掲げ、1回の充電でより長い航続可能を達成しているEVも存在しており、いかにテスラの充電ネットワークの拡充ペースが上がっているとは言え、このクルマが、幅広い魅力を持つ世界最高のガソリンモデルの1台と同じくらい実用性に優れたEVとして、多くを納得させることができるとは言えないだろう。

つまり、冒頭のミラーの質問に対する答えとしては、平均的な3シリーズオーナーにとっては、まだBMWからテスラに乗り換えるのは時期尚早ということになる。率直に言えば、より良いクルマ作りへの貢献こそが最新技術の役割であり、モデル3のEV技術はまだ十分なレベルに達しているとは言えないのだ。

それでも、厳しさを増すCO2排出量規制を考えれば、この2台の現役期間中にもEV技術は十分なレベルに達するだろう。そして、すでにEVを普段使いできるようなひとびとの多くが、過去を振り返ったりはしないに違いない。

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