ロードテスト ベントレー・コンチネンタルGT ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.04.13 09:50

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★★★★★☆

このクラスのクルマは、スーパーGTカーにさまざまな、そして興味深いスーパーな要素を持ち込んでいる。コンチネンタルGTの場合、とくに洗練性や長年にわたるラグジュアリーさをこれまで積み重ねてきた。しかし、このクルマの速さやW12ユニットのこれまでにないような鋭い叫びを体感すれば、このクルマが定義付けを変えようとしていることを理解しはじめるのではないだろうか。

もはやベントレーは、加速性能そのものでアストンマーティンやメルセデスAMGをはじめとするライバルたちに遅れを取るものではない、といえそうだ。そして、当面はそうならずに済む。やや湿ったコースで、四輪駆動と完璧に制御されたローンチコントロールは、コンチネンタルGTを3.6秒で97km/hまで加速させ、48-113km/hは先代より3秒短縮した。これは2016年にテストしたDB11 V12や、その前年のコンチネンタルGT3-Rをもしのぎ、実に749kgも軽量なポルシェ911GT3RSからコンマ1〜2秒遅れるに過ぎない。

それでもこのクルマの加速は、暴力的で野蛮なところが一切ない。それよりも印象的なのは、中回転域の極太で揺るぎないトルクが、2.3tもの重量を大した問題ではないように思わせてしまうことだ。とはいえ、スロットルペダルは軽く踏んだだけで反応するものではなく、強く踏み込むことが求められる。これは必要以上の出力を不用意に解放するのを防ぐためだが、パワートレインにもスムースなペダル入力に見合うレスポンスの穏やかさがあるのも理由のひとつだ。

高回転域では、先代よりも軽やかに回るが、4500rpm以上ではパワーデリバリーに依然としてわずかながらもダルさが残り、トランスミッションはマニュアルモードでも6200rpmで自動的にシフトアップする。それでも、スムースに操作すれば、パワートレインは究極のスムースさで応えてくれる。それこそまさに、このクルマの本分だ。二重ガラスゆえに、キャビンの気密性は一級品で、80km/h巡航時の室内騒音はDB11 V12より6dB静か。トランスミッションは物腰柔らかで、トルコンATのような滑らかさは失われていない。

結局、このパワートレインは先代より能力の幅が広がっていて、長距離クルージングを気持ちよくこなす。とはいえ、いくつかの競合車ほどエキサイティングなものには、今回もなっていない。

テストコース

このクルマの限界域のハンドリングにおける長所も短所も、サーキットテストでのラップタイムに見て取れる。比較したDB11 V12より400kg近く重いが、ドライコースでは2秒弱の遅れにとどまり、距離の短いウェットコースでは5秒以上も速いのだ。

滑りやすいコンディションでは、強力なトラクションとグリップを発揮し、バランスが取れて落ち着いた走りをみせる。ところがドライコンディションで、速度や横Gが増すと、安定感が薄れはじめ、予測しやすいとはいえ、ライバルたちより低いコーナリングスピードでアンダーステアに転じるのだ。

それでも、ハンドリングのアジャスト性がはっきりとある。2〜3速で回るコーナーでは、ドライブトレインが車体の挙動をパワーで打ち消し、旋回中のスロットル操作でスライドへ持ち込むことを可能にしてくれる。これは、先代コンチネンタルGTでは望み得なかったものだ。

ドライサーキット

ベントレー・コンチネンタルGT W12ファーストエディション:1分14秒6

アストンマーティンDB11 V12(2016年):1分12秒9

ほとんどのコーナーで、限界域のハンドリングはアンダーステア主体となる。

クルマの重さがもっとも厄介になるのは、高速コーナーのT4旋回時と、ヘアピン手前での減速時だ。

ウェットサーキット

ベントレー・コンチネンタルGT W12ファーストエディション:1分7秒5

アストンマーティンDB11 V12(2016年):1分12秒6

四輪駆動システムは、T2脱出時にめざましいトラクションとスタビリティをもたらす。

大きなコーナーであるT5やT7におけるアペックスでの速度は高い。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:11.8秒(到達速度:197.6km/h)
0-1000m発進加速:21.2秒(到達速度:255.7km/h)


アストンマーティンDB11 V12(2016年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温22℃
0-402m発進加速:12.2秒(到達速度:198.1km/h)
0-1000m発進加速:21.6秒(到達速度:253.6km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温12℃
97-0km/h制動時間:2.77秒


アストンマーティンDB11 V12(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温22℃

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