PSAグループ会長 Q&A EVが抱える諸問題 DSの中国市場への懸念
公開 : 2019.03.28 18:10 更新 : 2021.03.05 21:42
なぜ低公害車はそれほど高価?
――なぜ低公害車はそれほど高価なのですか?
「バッテリーの価格競争が起こっていないからです。もしアジアにバッテリーの供給量を増やすよういえば、それに乗じて価格も上げてくるのです」
「(EUの)法律は、ヨーロッパでバッテリーメーカーを作るのと同時に施行すべきなのです。この法律は戦力的にきちんと計画されたものではありません。充電ネットワークへの投資は検討されているのでしょうか。全方位からの施策とは言えず、厳密な計画も欠いています」
「これは深刻な問題です。EVは続々と登場しており、価格は3万ユーロ(373万円)ながら、十分な充電ネットワークは整備されていません。この問題は自動車メーカーだけの話ではないのです」
――去年10月に提出されたEUの排出ガス規制では2030年までに、平均CO2排出量を2020年比で45%削減することを求めています。これについてはどうお考えですか?
「われわれは10月の選挙の人質に取られていたようなものです。実際、インパクトのある研究はまだ存在しておらず、われわれは自動車産業の競争力を守る必要があります」
「PSAは生き残り、時代に適応していくでしょう。しかし、EUは急速にことを進めており、提携先やサプライヤー、ディーラーなど、産業のエコシステムにどのような影響が出るでしょうか。変化のスピードによっては崩壊が始まってもおかしくありません。皆このことに気づいていないのです」
「(バッテリーがアジアで製造されている関係で)トータルコストの40%程度がアジアに流れるでしょう。ですが、EUがアジアに仕事を与える権限があったでしょうか。しっかり戦略を練る必要があります」
「こういった疑問は法律を過去の基準に戻すものではありません。誰が未来の青写真を描いているでしょうか。どこに充電ネットワークを作るのでしょうか。CO2をうまく循環させるにはどうしたら良いでしょうか。水素など、ほかの燃料はどうでしょうか。決まったとしても、次は資金が必要になります」