試乗 アウディR8 V10 孤高の大排気量NAエンジン ハンドリングで及ばず
公開 : 2019.03.29 11:20
どんな感じ?
上質なインテリアと実用性は従来どおり
アピアランスの保守的で控えめな印象は、明らかに薄まった。かといって1980年代のクワトロとも印象は異なるが、スタイリングは過去のクルマのイメージを利用している様子。アウディA1もクワトロには見えないが、インゴルシュタットなりに努力しているはずで、最新のR8もR8だとすぐに気づく存在ではある。典型的なスーパーカーのようになってしまった感じもあり、技術的に新しく抑制の効いたスタイリングを備えていた初代とは違う趣きだ。デザインは好みの部分も大きいが、正直わたしはそれほど気に入ってはいなかったりする。
インテリアも大きな変化はない。サイドシルが低く、通常のドアの開き方で開口部も大きいため、スーパーカーの標準で見ると比較的乗りやすいクルマということにも変わりはない。クラスのトップレベルとはいえないまでも、シートに座れば、車内空間も充分余裕が感じられる。インテリアのデザインや高い仕上げ品質、触感などの良さはいまでも充分称賛できるレベル。
デジタル・インスツルメントのアウディ・バーチャルコクピット・モニターに表示される滑からなグラフィックも、充分に惹きつける力がある。アウディQ2など新しいモデルの車内に見慣れているなら、さほど驚かないかもしれないけれど。
フロントのボンネットの下には、それなりの大きさのラゲッジスペースがあり、シートの後ろには小さなバッグやコートを置くのにちょうどいいスペースが用意され、実用性も悪くない。しかし、もし本当に実用的なミドシップのスーパーカーが欲しいなら、恐らくマクラーレン570GTを選ぶ読者も少なくないだろう。このクルマが登場してから10年ほどが経つが、R8を取り巻く環境は変化している。