アルピーヌA110 毎日乗れる最高のスポーツカー 真のライバルは初代911?

公開 : 2019.04.06 16:50  更新 : 2021.05.13 12:00

スペックは控え目 完ぺきではない

アルピーヌA110は、残念な結果に終わったケーターハムとの提携(この英仏海峡を挟んだ提携がうまくいかなかったことを、英国側はどれほど残念に思っているだろう)の産物であり、その中味はメガーヌのホットバージョンをベースにしている。

もっとも近いライバルと言える、カーボンファイバー製タブを持つアルファ・ロメオ4Cとは違い、A110では、よりコンベンショナルなアルミニウム製モノコックを採用している。256psと決してパワフルとは言えないそのパワーは、簡単に路面にブラックマークを残すほどではなく、履いているタイヤも純粋な公道仕様だ。スペックだけで見れば、取るに足らないモデルとしか思えないだろう。

さらに、少なくとも個人的には現実的なモデルでもあり、その見事なルックスはこのクルマに相応しいものだが、それでも、1960年代に生み出された初代A110が横に並ぶとさすがに分が悪い。過去、さらに素晴らしいデザインが行われたとでもいうほかないだろう

それでも、運転してみれば、すでに多くが認めるこの小さなフレンチスポーツカーに対する称賛の列に加わるしかなかった。メーカーが慎重に選択したルートで、こうしたモデルをテストするのは結構だが、では、日常使いはどうだろう? このクルマにとっては、あまり重要視されていない点にも注目してみよう。

正直なところ、確かに毎日乗ることのできるモデルではあるが、完ぺきというわけではない。キャビンの収納スペースは最低限であり、小さなリアのトランクに加え、フロントにもスペースは用意されているものの、非常にフラットなため、レコードくらいしかここに入れるものを思いつかなかった。

デジタルラジオ付きのクルマとしては、これまでで最低の受信感度だったが、これは信号を受信するには、A110のボディフレームに使用されているスチールの量が少ないことが理由かもしれず、あまりにもお粗末なナビシステムのお陰で、このクルマを迎えて最初にしたことのひとつが、スマートフォンをダッシュボードに取り付けるためのブラケットを用意することだった。

さらに、長期テスト車に装着されていたスポーツシートは、サーキットでは素晴らしいホールド性を発揮するものの、公道で数時間も運転すれば窮屈に感じられ、もし自分でこのクルマを購入するなら、標準シートを選択することになるだろう。

それほど大きな問題ではないかも知れないが、スポーツモードの過敏過ぎるスロットルレスポンスとクルーズコントロールは時に扱い辛く、さらには、マニュアルシフトを選択しても、アップシフトは自動で行う。

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