ロードテスト シトロエンC3エアクロス ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.04.06 11:50 更新 : 2021.03.05 21:42
走り ★★★★★★☆☆☆☆
テスト車の3気筒ガソリンターボはまずまず力強く、フレキシブルで好ましいエンジンだ。とはいえ、有り余るほどパワフルで、経済性もマナーも絶賛するに値するほどではない。11.3秒という0-100km/hの公称タイムは、われわれが寒空の下で計測したタイムとほぼ一致する。しかし、このクラスでは活発な方には数えられない。95ps仕様のアロナ1.0TSIは、これより1秒早い実測値を叩き出したのだ。電気モーターの補助がないことを踏まえても、ガッツの感じられるクルマではない。
この111psの1.2ℓユニットは振動音も気になるが、勝算がないわけではない。パートスロットルでは十分に静かで、たった1500rpmから20.9kgmを絞り出すので、走り出してしまえば勢いを保つのはそれなりに容易だ。トランスミッションが比較的クロスレシオで、エンジンのややソフトなスロットルレスポンスを緩和し、適切なドライバビリティを生むからだ。
追い越し加速は勢いを感じさせるほどではなく、ややゴムっぽい感触でストロークの長いシフトレバーを忍耐強く適切なタイミングで操作する必要があるのだが、それに苛立ちを覚えることはない。エンジンをハードに回し、頻繁にシフトチェンジしても、レバー操作はあっけないほどイージーだ。
これらに照らせば、エントリーレベルとなるノンターボの83psユニットを選ぶのは避けたい。複数乗車で人数分の荷物も積み、一般的なコンパクトカーより負荷の大きいクルマには、はっきり言ってフィットしないエンジンだ。
燃費性能は、メーカー発表の混合モードで20.0km/ℓと、ライバルたちに見劣りしない数字を示す。テストで計測した実燃費は、ツーリング時で14.0km/ℓと公称値よりだいぶ目減りするが、これくらいのスペックの3気筒ガソリンならばこんなものだろう。先に挙げたアロナの1.0ℓユニットも14.5 km/ℓと、似たり寄ったりの結果だった。ただし、燃料タンク容量で上回るC3エアクロスは、550km強の航続距離を期待できる。
テストコース
C3エアクロスは、運動性能の限界域に足を踏み入れても、走りが萎えてしまうことはなかった。悲しいかなそれは、シトロエンのエンジニアたちが、ロール剛性やキャンバーセッティングなどをみごとにジャッジしたからではない。ESPシステムが、このクルマを無理なく走れる範疇から決して逸脱させないからだ。
電子制御システムを切ることはできるが、それはフリクションの低い路面における低速での取り回しを考慮したもので、速度を上げればすべてのシステムが再起動する。それらは巧みに調整されており、アグレッシブにスロットルを操作しても、ジャダーやショックもほとんどなく、狙ったラインをキープしてくれる。
乾燥した舗装路面でのグリップレベルは、オールシーズンタイヤでは控えめだが、それを求める必要はない。縦横の両方向とも、ボディの挙動は期待以上に際立ってクッションの利いたものだが、これほど前輪とステアリングホイールのつながりが感じられないクルマで飛ばすのが気持ちいいと思えることはないからだ。
T2ヘアピンを抜ける際のロールはすばらしく小さいが、シャシーは不安定に感じられ、フロントアクスルはすぐに、アウトへ流れ出さないための電子制御システムにアシストを求める。
T5では、電子制御系がシャシーを封じようとする。緩慢なステアリングとともに、不自然さを助長する要因だ。
T6への上り坂では苦戦する。よりパワフルな131ps仕様ならばよかったのだが。
発進加速
テストトラック条件:乾燥路面/気温9℃
0-402m発進加速:18.6秒(到達速度:126.5km/h)
0-1000m発進加速:33.6秒(到達速度:157.2km/h)
セアト・アロナ 1.0TSI SEテクノロジー 95PS(2017年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:17.9秒(到達速度:126.3km/h)
0-1000m発進加速:33.1秒(到達速度:152.4km/h)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
97-0km/h制動時間:3.49秒
セアト・アロナ 1.0TSI SEテクノロジー 95PS(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃