試乗 ジャガーXE P300 R-ダイナミック 2020年トップグレードは2.0ℓ4気筒ターボ
公開 : 2019.04.15 10:40
楽しさに溢れたハンドリングは従来どおり
加えて、XEが4輪駆動であることと、冴えない8速ATが、ドライビングの喜びをスポイルしている要因になっている。特にオートマティックは、マニュアルモードでの操作時の反応がやや鈍く、オート状態でも優柔不断で、思い描いた段数を選んでくれないことがあるし、変速自体のフィーリングもラフでどこかぎこちない。それが原因で、クルマのあらゆるレスポンスがわずかだがヌルくなり、より積極的に走らせたいという思いと、噛み合っていないように感じられる。なにか不自然な力が及んでいるように。
一方で、滑らかでバランスに優れ、楽しさに溢れたハンドリングも変わらない。パワートレインでライバルには至らない部分があっても、ツイスティな郊外に伸びる道を、夢中になって運転できるドライバーズカーだと思う。アルファ・ロメオ・ジュリアと比べると、フィーリングはやや重厚で柔らかく、反応もやや不自然なところがある反面、しなやかでフィードバックが濃く、ハンドリングの特性も漸進的。クルマをより意のままに走らせることができる。
この4輪駆動システムは限界付近でのハンドリングバランスでは、かつてのXE Sが備えていた甘美さには届いていないように思える。しかし、多くのドライバーにとっては高められたトラクションと安全性に、充分納得できるはずだ。
XEの実世界での燃費にも触れておこう。一部かなり飛ばした区間も含めて、様々な走行パターンを試した結果として、8.8km/ℓに留まっている。古いV6エンジンを積んだ「S」並の良好とはいえない数字だが、この手のハイパワーサルーンだから、それほど燃費が重視されることもないかもしれない。