ロードテスト ジープ・ラングラー ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.04.21 09:50
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
英国向けのJL型ラングラーには、3つのタイプが用意される。ベースグレードがサハラ、上級仕様がオーバーランド、そしてオフロード性能を重視したルビコンだ。ルビコンは車高をやや引き上げ、切り替え式フロントスタビライザーやヘヴィデューティー仕様のオルタネーター、BFグッドリッチ・マッドテレーン32インチタイヤ、デフロックを装備。さらに、モディファイなしでウインチを装着できる。
ハードウェアに関しては、ここまでヘヴィデューティーなものを必要とするオーナーは少ないだろう。それでも、取り外し可能なアルミのドアを持つ新たなボディは、頼れる頑強なラダーフレームとリジッドアクスルによって支えられる。2速のトランスファーも備え、岩場走行などを想定したローレンジのギア比は2.72:1だが、ルビコンではさらに4:1へ低められている。4WDシステムは燃費向上のため、70km/h程度までなら後輪駆動に切り替え可能だ。
テスト車の仕様は、欧州専売グレードのオーバーランド。エンジンは新開発された2143cc直4ディーゼルターボのマルチジェット-Ⅱで、トランスミッションは8段AT。英国市場に、MT仕様は導入されていない。この200psの2.1ℓディーゼルは、2000rpmから45.9kgmのトルクを発生する。これに加え、272psの2.0ℓガソリンも設定されるが、日本市場などに投入される3.6ℓV6は、英国では販売されない。
オーバーランドにはルビコンと異なり、オン/オフ兼用タイヤが装着されるが、どちらも4WDシステムは機械式フルタイム。全車ともドライブトレインのスペシャリストであるアメリカのダナ製リジッドアクスルを採用するが、ルビコンのそれは先述の通りデフロックを備えたヘヴィデューティー版だ。オーバーランドでは、リアにLSDを搭載する。
サスペンションはコイルスプリングとパッシブダンパーの組み合わせで、リサーキュレーティングボール式ステアリングは電動油圧アシストで、ギア比はこのクルマにはピッタリのおおらかな16.2:1となっている。シャシーの下にはスキッドプレートが4つ設置され、燃料タンクとトランスファー、ギアボックスとオイルパンを保護する。ルビコンでは、大径チューブラーのアンダーガードが追加され、飛び石のヒットなどへの耐性も高められている。
4ドアモデルの全長と全幅は、BMWならX3とX5の中間といったところで、全高はそのどちらも上回る。最低地上高は242mmと、量販車としては最大級だ。アプローチが35.4°、デパーチャーガ30.7°、ブレークオーバーが20.0°の各アングルは、無論ショートホイールベースの2ドアほどではないが、挑戦者たちは大きく引き離している。ルビコン仕様ならなおのことだ。