ふしぎなモノも? 米国車、ダッシュボード進化の歴史 前編

公開 : 2019.04.29 05:50

フォード・サンダーバード(1980年)

2019年現在、ほとんど忘れ去られたようなモデルだが、8代目フォード・サンダーバードは、なんとか伝統ある名前を残そうと、当時急ごしらえで登場したクルマを象徴するようなモデルだった。

マスタングと同じフォックス・プラットフォームを採用したことで、先代モデルよりもボディ全長は短くなり、サンダーバードとして初めて6気筒エンジンを積んだモデルでもあったが、問題は3.3ℓ直列6気筒にもかかわらず、そのエンジンパワーが89psに留まっていたことだった。

フォードでは、その未来的なテクノロジーによって、このクルマを選ぶひとびとが、6気筒エンジンの貧弱なパワーを忘れてくれることを期待していたに違ない。

エントリーグレードは通常のアナログ式だったが、フォードではオプションとしてデジタル式速度計や燃料計を備えた電子式ダッシュボードを用意していた。

その価格はグレードによって275ドルと313ドル(2019年現在の価値では、それぞれ850ドル/9万5000円と960ドル/10万8000円に相当)とされており、さらに、316ドルを支払うことで、いまのSNSとも言える短波無線を手に入れることも可能だった。

サンダーバードをベースとしたマーキュリー・クーガーでも同じ電子式ダッシュボードを採用していたが、1982年にこの2台がモデルチェンジを迎えると、その後、フォードがデジタルメーターに手を出すことはなかった・・・

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