アウディTT、絶滅危機 廃止による損失を再考察するべき 英国編集部
公開 : 2019.04.24 16:10
活況を呈している小型クーペ市場
しかし現在、3世代目となったTTは絶滅の危機に瀕しているらしい。その理由は、われわれが十分な台数のTTを買わなくなったからだ。2022年までは存続するようだが、今と同じ2ドアのスタイルは、もはやそれが最後になりそうだ。
これは残念だ。なぜなら、ポルシェ・ケイマン、トヨタ86/スバルBRZ、トヨタ・スープラ、アルピーヌA110など、今や小型クーペの市場はめったにないほど活況を呈しているからだ。
おそらく問題は、われわれがTTではなく、これらのクルマや、ホットハッチを購入しているということだろう。確かに、走りが素晴らしいクーペを求める人に、アウディTTを心から勧めることはできないだろう。しかし、TTかハッチバックにするかと迷っている人には、TTを購入するべきだと言える。これほど低くて、軽くて、コンパクトで、楽しいクルマは、ハッチバックに求め得ないからだ。
TTの廃止でアウディが失うもの
そして、これが大事なことだと思うのだが、トヨタ86/スバルBRZは、おそらくよく似たタイプの後継モデルが間もなく登場する。それなのに、いまこのクルマを勧める理由があるだろうか? 86がトヨタで最も利益を生むクルマだとは思わない。しかし、とにかく今のところ、同社の豊田章男社長は、面白いクルマを作ることが事業の成長に有益であると分かっている。
アウディの会議室では、TTの将来について「感情的な議論」が行われているという。よく考えて欲しいと思う。アウディのラインナップにTTがなくなったら、販売面で失う数字はわずかだろう。しかし、魅力という面で失うものは大きいはずだ。