狙い過ぎたマツダ・ロードスターのライバル BMW Z1とロータス・エランS2
公開 : 2019.04.20 16:50 更新 : 2020.12.08 10:40
BMWとロータス、それぞれの個性
郊外のうねった道でペースを高めていくと、インタラクティブ・ウイッシュボーンを搭載したフロントサスペンションの効果を体験できる。BMWのような一般的な後輪駆動のクルマと異なり、前輪駆動のエランは、グリップの限界領域になるほど、コーナーをさらに攻め込んでいくことができるのだ。
一線を越えてしまっても、アンダーステアの挙動は先が読みやすく、コーナーの途中で急にアクセルを戻さない限り、徐々にグリップは回復していく。フォルクスワーゲン・ゴルフやプジョー205などで肩を慣らしたドライバーにとっては、いつものことだろう。
今振り返れば、エランはホットハッチから屋根を取り払ったクルマとして、ドライバースカーとしての役目を果たしたといえる。いかにもロータスらしい、目的を明確に絞ったクルマだった。反面Z1は、目標を見出すのに悩んでいたようにすら思える。BMW Z1が生産されたのはわずか2年で、素晴らしいシャシーバランスに見合った充分なパワーを得ることは、最後までなかった。
ドライバーズカーというより、エンジニアのための実験台に近かった印象の残るZ1。しかし、よく晴れた午後にドアを下げたまま心地よい風を受けながら走っていると、その実験は成功だったといえるかもしれない。