ポルシェ・タイカン プロトタイプに助手席試乗 雪上でその性能を試す
公開 : 2019.04.28 09:50 更新 : 2021.02.10 17:27
EVだからといって妥協しないスポーツ性
タイカンはポルシェにとって非常に重要なクルマだ。それ故に、まだまだな点もあるだろう。2002年にカイエンが登場してそれまでのポルシェに対するイメージを一転させたり、大本の911が1963年に登場した時ぐらいの大きな存在感となるだろう。
最初に驚いたのはタイカンの車体が非常に小さく感じることだ。4ドアでオフロード性能を重視した「クロスツーリスモ」モデルが登場するからと、多くの人は勝手にパナメーラとマカンの間に位置すると想像していただろう。事実、わたしもその一人だ。
だがフィーリングはまるで違う。公式の寸法はまだ公表されていないが、ミッションEコンセプトから判断するに全長は5m超えのパナメーラよりも短い4.85mぐらいだろう。ホイールベースも911並ではないが非常に短い。4WSシステムが持つ機敏さがはっきりと感じ取れるぐらいにはホイールベースが短いのだ。
ドライビング性ではパナメーラよりも911に非常に近いフィーリングだ。ドライビングポジションは低く設計され、センターコンソールはドライバーの真横に来るほどの高い位置に配置されている。
ファミリーカーというよりは、乗って楽しむようなスポーツカー寄りのフィーリングを持つ。ポルシェは電気自動車とスポーツカーが相対する存在ではないと証明することに尽力しており、もしもタイカンに911の雰囲気を再現することができたら、その挑戦への達成に一歩近づいたことになるだろう。そしてカモフラージュされたプロトタイプという時点で、わたしは既にその目標が達成されていると感じた。
クリスティアンとわたしは吹雪の中へと走っていった。見る限りはホワイトアウトと化した状況になっており、曇天の中で飛行機を操縦するような不安さを持っていた。
だが彼は冬の間はこっちに住んでいるらしく、このような状況は彼にとって朝飯前だったという。雪上に微かに見えるわだちを頼りにしながら運転する様子はコウモリが持つようなソナーに導かれているようだった。