総括：進化する防犯技術を克服する窃盗団

このトップ10のモデルを見れば分かる通り、英国ではプレステージブランドが窃盗団にとっても主要なターゲットになっている。盗難され回収できた車両の平均的な価値は、およそ2万ポンド（290万円）だったそうだ。最も安価だったのは、トヨタ・ランドクルーザーで、1000ポンド（15万円）程度だったのに対し、最も高価だったのは写真のロールス・ロイス・ゴーストで、12万ポンド（1740万円）だったという。

「組織化された窃盗集団は、要求に応じてクルマを盗むほか、簡単に転売できる車種を狙っています。犯罪行為ではありますが、生業を立てるプロでもあり、儲かっているはずです。彼らはかなり高度な技術を持っていて、自動車メーカーが新しい防犯技術を導入する度に、その技術に追従し、それを克服する新たな技術を生み出して盗難を続けています」　と話す、トラッカー社のクライブ・ワイン。

「今回のトップ10にランクインしている車種はどれもプレミアムブランドのクルマですが、目先で狙う窃盗者は、手短に盗めそうなクルマなら車種を問いません。英国ではクルマのセキュリティ対策を個人でもしっかりと高めておき、盗みにくくしておくことが重要でしょう」

「トラッカー社では長年に渡る英国の警察との連携によって、回収できたクルマを手がかりに、78名の容疑者の逮捕にも結びつけています。また、トラッカーの追跡ユニットを取り付けていた79台のクルマが、逮捕者の関係性をたどって回収することもできました」

日本の場合、2018年に窃盗された車種は、1位がトヨタプリウス、2位がトヨタハイエース、3位がトヨタ・ランドクルーザーとなっているとのこと。スマートキーの微弱電波を利用したリレーアタックといった、新手の手法による車両盗難のニュースを目にする機会が日本でも少なくない。充分に気をつけたいものだ。

すべての画像をみる　全13枚