長期テスト(1)メルセデス・ベンツSクラス ラグジュアリーの代名詞
公開 : 2019.05.02 16:50
静かでスムーズなパワートレイン
要は、われわれのSクラスは19インチのAMGホイールを履き、ウェディングカーとは似ても似つかぬマットペイントが施されているがリムジンらしさは残しており、クラストップのラグジュアリーな体験ができる。
S500は始動してもほとんど動かない。48VのISGシステムはパワフルで直6もスムーズに回るため、静寂な車内では遠くからかすかにエンジン音が聞こえるばかりだ。洗練度は増しており、背後には多くの機構は協調して働いているのが感じられる。アクセルを踏むと、シームレスにつながる9速ギアボックスを介して静かに加速していく。
ギアにはスポーツとコンフォートのふたつのモードがあり、低レシオをどれだけ引っ張るかが変わる。パドルシフトでの変速も可能だが、変速プログラムの制御は完璧で、長い下り道でエンジンブレーキをかけるとき以外はすぐにクルマに任せきりになるだろう。ISGは下り道のブレーキングで発生するエネルギーを貯める(回生度合いを示すメーターもある)が、2トンの車体を減速させるにはエンジンブレーキが必要な場面もある。
Sクラスは大型で、タイトなコーナーでは長いフロントオーバーハングやリアホイールが縁石に当たらないか気を配る必要がある。市街地では動力源を持たないかのような静かさだが、ステアリング操作には正確性が要求される。全長は5.3m近くあり、ほとんどのクルマよりも多くの路上空間を占有するからだ。