超マニア向けオークションの結果レポート。ヒストリックカー・レース併催だけにレーシングマシンはもちろん、来場者の嗜好に合わせてクラシック・カーも数多く出品。

text: Kazuhide Ueno（上野和秀） photo: BONHAMS

トップ5はグッドウッドを象徴

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード（GWFS）、グッドウッド・リバイバルに続く第3のイベントとして開かれているのがメンバーズ・ミーティングだ。グッドウッド・サーキットを舞台に行われるもので、その歴史は古い。一時期中断していたが近年になって復活し、グッドウッドの春のイベントとして親しまれている。

メインはサーキットでのレースだが、そのプログラムのひとつとしてコレクターズカ―・オークションが開かれている。地元イギリスのボナムスが主催するのだが、イベントにあわせた内容とされているのが特徴だ。

それを物語るのが出品車にレーシングマシンが多いことだ。他のオークションではほとんど出ないレース仕様のヒストリック・ツーリングカーやGTマシンから、スポーツ・レーシングカー、フォーミュラ・マシンが毎回用意されるのである。なかでもツーリングカーはグッドウッドのレースで活躍していた車両が出てくることが多く、これから参戦を考えている方には見逃せないものとなっている。

もうひとつの柱は歴史があるイベントだけにベテラン・ファンが数多く来場することから、戦前車が数多く用意されることにある。逆に最近のオークションの主役になっているフェラーリを始めとする近年のスーパースポーツは皆無で、あっても’70〜’80年代までのモデルが中心となる。

このオークションの特異性はリザルトを見ても分かる。最高落札額を記録したのは「1964年アストン マーティンDB5ヴァンテージ・スペックの9295万円」で、ここに

1929年ベントレー4 1/2Lツアラー・ヴァンデン・プラ（7665万円）
1956年メルセデス・ベンツ300SCクーペ（5205万円）
1955年ポルシェ356Aスピードスター（3526万円）
1974年フェラーリ365GT4 BB（3275万円）

が続いた。もっとも新しいモデルが1974年の365BBであることからも傾向が分かろう。

イギリスならではのクルマも出品

世界的にオークションの落札価格は落ち着きを見せているが、ここグッドウッドでも同様の傾向を見せた。メルセデス・ベンツ300SLガルウイング・クーペやマセラティ・ミストラル・スパイダー、アストン マーティンDB6ヴォランテ・コンバーチブルなどの高額車は敬遠されたが、5万ポンド（740万円）以下のクラスは活発に落札されていた。

またイギリスならではのクルマといえるのがディンキーのミニチュアカーでおなじみのミニMk-IIクーパーSのポリスカー。リバプールの警察で使用されていたもので、当時の装備を残していることから454万円で落札されている。このほかイギリス人にとって心のふるさといえる1933年MGマグネットK1サルーンは要レストアのプロジェクト状態ながら353万円を記録している。

有名人が所有していたクルマも出品され、エルトン・ジョンがファーストオーナーの1974年フェラーリ365GT4 BBは3275万円、ディーン・マーチンが所有していた1973年エクスキャリバー・シリーズIIロードスターは1109万円まで値を上げた。

変わったところでは新車で日本にデリバリーされたポルシェ928GTSが出品され、こちらは走行3.6万kmということもあり672万円で落札されている。

ボナムス・グッドウッド・メンバーズ・ミーティング・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。