試乗 メルセデス・ベンツVクラス・マルコポーロ タイヤの付いた高級ホテル
公開 : 2019.05.04 16:16
商用車ベースを隠せない乗り心地
ただし、マルコポーロのベースとなっているのは商用車のヴィート。どこか土臭いところがある。突き詰めていくと、大幅に手を加えたとしても商用車が土台となると、垢抜けたプレミアムなクルマを構築させることには、無理が生じてくるのだろう。くたびれた家に新しいデザイナーズ・キッチン付きの内装を施すようなものというのは、いい過ぎだろうか。
細かな凹凸が出ているような路面を超えると、クルマはしっかりと振動してしまうし、サスペンションからのノイズも耳についてしまう。英国仕様の場合は、アダプティブ・サスペンションが標準装備されているのだけれど。
ブレーキペダルのフィーリングも完璧とは呼べない。効き始めるまでのトラベル量が大きすぎるうえ、2487kgにも達する巨体を静止させるのは、容易なことではないことを実感させられてしまう。
ステアリングは軽くスムーズで正確だが、高速コーナーでは想像通り大きくボディはロールする。そもそも、リアシート前のテーブルから料理が飛んでインテリアを汚してしまうから、開放的な道を積極的に飛ばすことは止めておいた方が良いと思う。せっかくの朝食も台無しだ。
もっとも、オートキャンプ場を転々と穏やかに移動している限り、ダイナミクス性能に不満を感じることはないはず。乗り心地の面で、商用車ベースであるということは、常に意識させられるとしても。