結論　★★★★★★★★★☆

「これまでロードテストの対象とした手頃なEVとしては、ベストの出来栄えだ」

昨年、ヒュンダイ・コナ・エレクトリックが登場した際に、3万5000ポンド（約525万円）以下のEVでこれほどバッテリー容量が多いものはないだろうと驚嘆した。しかし、日産が同レベルの62kWhに強化したリーフを発表し、遠からず英国市場にも投入される見込みとなった。そして、ヒュンダイ傘下のキアも、コナと同容量の64kWhバッテリーを採用。それを搭載したe-ニロは、現実的な航続距離は兄弟分であるコナと同等だが、使い勝手や洗練度、さらには乗り心地とハンドリングで間違いなく上を行っている。

e-ニロのインテリアには、ちょっとばかりプラスティッキーさが気になる。走りにも、もう少し細部を煮詰めてほしいところを感じるが、それほど深刻なものではない。満点評価から星ひとつ差し引く程度のことだ。逆に言えば、この上なく優秀なEVではあっても、完璧というわけにはいかなかったのだが。

つまり、秀逸なEVが満点を取るには、もっと広い意味での秀逸なクルマに勝る必要がある。とはいえ、これまでロードテストの俎上に載せた普及価格帯の電動車の中でベストだと認めることに異論はない。そして、ほかのどのクルマよりも、ゼロエミッションな自動車生活の実現可能性を確信させてくれるはずだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

EVで穏やかな坂を下ると、無駄なエネルギーが回収され、先へ進むほどに航続距離が伸びる。この回生ブレーキに関して、最近はちょっとばかり自由度が増している。ある意味、個人的な移動手段 のあるべき姿に思える。

サイモン・デイヴィス

ヒュンダイはコナ・エレクトリックの39kWh仕様を英国に投入したが、キアがそれをしなかったのは疑問だ。バッテリー供給が生産のネックになっているのなら、その状況を多少なりとも打開できるだろうに。

オプション追加のアドバイス

グレード展開やオプション設定が進んでいないので、選択肢はボディカラーとディーラー扱いのアクセサリーにとどまる。英国では、e-ニロ専用色のプルートブラウンが用意されないが、その他の特別色は565ポンド（約8.5万円）の追加でチョイスできる。

改善してほしいポイント

・インテリアの細部に関して、もっとソリッドなフィールが欲しいと思える部分がある。
・ステアリングとボディコントロールの改善を。悪くはないが、素晴らしいというまでには至っていない。
・内外装も機能面も、もっと選択肢が欲しい。

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