操舵／安定性　★★★★★★★★☆☆

バッテリーの500kg近い重量を処理するなら、ホイールベースの長い大型車のほうが、前後車軸間の短い小型車よりずっと楽だ。それを教えてくれるのは、e-ニロのハンドリングが、昨年テストしたヒュンダイ・コナ・エレクトリックより、明らかにバタつかず安定していて確実性のある印象だったことである。

それ以上に注目すべきは、運動性に妥協がまったくないということだ。運転してみると、いかに俊敏で取り回しやすく、しかも従順か、また路面のグリップの仕方、タイトコーナーやラウンドアバウトでの静かなる自信などが、まるでバランスのよい、うまくセッティングされた大きめのファミリーハッチのようだ。平均的なクロスオーバー・ハッチバックと比べても、グリップやトラクションに不足を感じないが、EVならどれでもそうというわけではない。飛ばしてみたり、かなり厳しい凹凸を乗り越えたりしてみても、ボディコントロールが追いつかなくなることもなかった。運動性能は実に優れており、ほとんど非のうちどころのない走りを披露したのだ。

ほとんど、というのは、完璧だったわけではないということでもある。とくにステアリングは、切れる早さはいいのだが、ちょっとばかり手応えがありすぎ、それでいてタイヤの荷重や接地面の状態がやや掴みづらいので、操作の満足度は最高とはいかないのだ。とはいえ、ダイレクトではないものの、それが妨げになったり不快だったりして、全体的にみせる賞賛すべき運動性を楽しむことに差し障るものではない。

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