スープラやシビック CR-VにRAV4 なぜ今、むかしの車名が復活? メリットは

公開 : 2019.05.17 19:10  更新 : 2021.10.22 10:17

業務提携など新しい展開も車種の復活を加速

車種の復活には、ほかにも複数の事情が絡む。まずはクルマの売れ行きに対する見方が変化した。

例えば2000年代の初頭は、今に比べると国内販売が好調だったから、1カ月の売れ行きが1000台前後の7/8代目シビックは不人気車とされた。そこで廃止されたが、この後に国内市場は一層冷え込み、特に普通車は厳しい状況に置かれた。今なら普通車が1カ月に1000台売れれば、中堅以上の売れ行きだ。販売台数に対する見方の変化も生じて、シビックなどが復活した面もある。

最近増えている業務提携も、車種の復活に影響を与える。トヨタBMWは、2013年に協業に関する正式契約を締結しており、この成果としてBMW Z4と基本部分を共通化するスープラが商品化された。今はスポーツカーの販売規模が世界的に縮小したから、BMWとの協業がなければ、スープラを単独で商品化するのは困難だった。

売れ筋カテゴリーの変化も、車種の復活に影響を与えた。CR-VRAV4の初代モデルは、国内市場に適したコンパクトなSUVとして人気を高めたが、フルモデルチェンジを行うたびに海外指向を強め、ボディも肥大化して国内販売を終えた。ホンダにはコンパクトSUVのヴェゼル、トヨタにはヴァンガードもあり、CR-VとRAV4は不要だと判断された。

ところがその後にSUVの人気が想像以上に高まり、ホンダではオデッセイなど上級車種からの乗り替えに対応できるSUVが求められた。そこでCR-Vを復活させている。

トヨタは近年ではLサイズSUVのハリアー、コンパクトなC-HRをそろえたが、ミドルサイズは抜けていた。しかもハリアーとC-HRは都会的な雰囲気が強く、SUVの野性味は乏しい。そこでオフロードSUVに近い機能と雰囲気を備えたミドルサイズのRAV4を復活させた。

CR-V、RAV4ともに、現行型も海外指向で、日本を意識した開発は行っていない。それでもSUVの高人気によって品ぞろえが求められ、急遽国内販売を再開した。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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