ロードテスト マセラティ・レヴァンテ ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.05.19 11:50 更新 : 2019.06.05 19:05
ディーゼル仕様では残念な結果に終わったレヴァンテが、フェラーリ由来のV6ツインターボを積んだマイナーチェンジ版でリベンジに挑みます。しかし、決定的に足りない部分を完全に補うまでには至りませんでした。
もくじ
ーはじめに
ースペック
はじめに
去年は、マセラティ・レヴァンテにとっていい年ではなかった。おそらくはマセラティの親会社であるフィアット・クライスラー・オートモービルズの経営陣にとっても、それは驚きだっただろう。2016年の導入以来、2万5000台ほどが販売されたが、昨年の総販売台数が3万2000台ほどだったマセラティにとっては、この新型SUVは期待の星だった。レヴァンテはマセラティに、ジャガーならFペースが、ポルシェならカイエンが、そしてベントレーならベンテイガがしたようなことをもたらすと思われていた。すなわち、繁栄の時へと導き、トラディショナルなスポーツカーの開発を続けるための財政基盤を築いてくれるものだと。
ところが、FCAのミラフィオリ工場におけるレヴァンテの生産は、2018年には40%以上も減少し、需要と供給を適正に保つべく従業員は一時的に手を休めることにさえなった。ちなみに、最大の得意先は中国で、それに次ぐのがアメリカ。欧州市場は第3位となっている。この下落ぶりは激しいだけでなく、世界的な人気の高まりを受けてSUVセグメントが拡大を続けている中での出来事だという事実をあわせて考えると、一層手痛いダメージだということができる。これほどまでにルックス抜群の、しかも自動車界屈指の長い歴史を誇るブランドの放つ新型車が、どうすれば流行の波に乗り遅れるというのか。
そのヒントは、デビュー時にオートカーが行なったロードテストの結果に見出せる。10点満点で獲得できたのは6点止まりで、その根拠となったのは力無いターボディーゼルのパフォーマンスであり、平凡なハンドリングであり、疑問を感じる室内の装備や質感であった。このボローニャ生まれの名門ブランドが生み出したSUVがオールラウンド性や攻めた価格設定で奮闘しても、ハッキリいってレンジローバーやドイツ勢には敵わなかったのである。
そんなレヴァンテに、マセラティはリフレッシュを施し、新技術の投入や運動性の改善を図ってきた。また今回は、昨年まで英国仕様にラインナップされていなかったV6ガソリンモデルを試すことができた。この主流から外れた高級SUVは、今度こそひとびとを惹きつけてやまないものとなったのだろうか。