ロードテスト マセラティ・レヴァンテ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.05.19 11:50  更新 : 2019.06.05 19:05

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

レヴァンテのアップデートに際して、マセラティはライバルとの競争力を高めるべく、メカニズム面で多少の変更を施した。2.1トンのSUVにおいて、レヴァンテを「クラシックなメセラティのスポーツカーのように仕立てた」というマセラティの主張は、ちょっとばかり虚しく聞こえる。それがジープのコンポーネンツではなく、ギブリクアトロポルテと同じアルミを多用したプラットフォームをベースとしているにもかかわらずだ。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアが5リンク。ジオメトリはまさしくギブリがベースだが、悪路走行用にトラベルは延長され、スプリングレートは高められた。また、キャンバーとトーアングルは、標準装備のエアスプリングによって6段階に変わる車高への反応もよりよくなっていると、マセラティでは説明している。

以前と同じく、四輪ともスカイフックダンパーを装備し、テスト車のSグランルッソを含めた欧州仕様の大半は、フロントに6ポットのブレンボ製ピストンを装着している。V8モデルの改良版にはフロントのタワーバーを追加したが、それ以外のモデルでもシャシーのリアは主にスティールを使用して剛性を確保している。V6モデルとV8モデルの重量差は60kgあるが、前後重量配分は全車とも50:50だとされている。また、空気抵抗がクラスでもっとも低いのはこれまで通りだ。

近年のマセラティは、フェラーリとの関係を最大限に活用することに熱心だが、550〜590psを発生する3.8ℓV8も、テスト車にも積まれる3.0ℓV6ツインターボも、このビッグネームに由来するユニットだ。V6は350ps仕様も設定されるが、テスト車はよりパワフルな430ps仕様。このほか、275psのVMモトーリ製V6ディーゼルも用意される。最速仕様の0-100km/h加速は3.9秒だが、テスト車であるSグランルッソの5.2秒もそう悪い数字ではない。

トランスミッションは全車ともZF製の8速ATで、マセラティのQ4全輪駆動システムを搭載。後輪偏重の駆動力配分は、スリップを検知してさえ変わらない。リアLSDは標準装備で、ブレーキを用いるトルクベクタリングシステムの改良版と協調して機能する。

アップデートされたレヴァンテの電子制御スタビリティコントロールには、インテグレーテッド・ヴィークル・コントロールと銘打たれた新プログラムが織り込まれた。これはエンジン回転とブレーキを予測制御し、SUVでは早々と発生しがちなアンダーステアを緩和するという。

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