ロードテスト マセラティ・レヴァンテ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.05.19 11:50  更新 : 2019.06.05 19:05

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

レヴァンテSグランルッソのインテリアを細かく見ていくと、快適さと腹立たしさを共に見いだすことになる。一見すると、見栄えも感覚も上質なだけではなく、明確な個性や高級感、センスを、ポルシェアウディといったライバルのよりシリアスで目的のはっきりしたインテリアに近づけようと、マセラティがかなり力を注いだように思える。

テスト車のタンレザーと、エルメネジルド・ゼニアのシルクは一番の好例だ。また、1035ポンド(約15.5万円)のエバーノウッドは、リーヴァの高級ボートやヴィンテージ物のフェンダー・ストラトキャスターのようだと、テスター陣の話題にのぼった。パッと見なら、このレヴァンテのキャビンは、高級で洗練された印象なのだ。ところが、このウットリさせられるような第一印象は、細部へと目を向けるにつれ、徐々に損なわれていくのである。

スイッチや操作部に用いられたプラスティックのチープさが、とても1200万円級のクルマでは許容しがたいものだというのが一番の問題だ。それが、先に述べたような高級素材とともに、あちこちに使われているというのはうれしくない。センターコンソール周辺の操作部はプラスティック感丸出しで、とりわけウッドパネルとそぐわず、インフォテイメントディスプレイを取り囲む硬いグレーのモールディングも、同じく見栄えが悪い。その下に並ぶエアコンの操作系は、エルゴノミクス面では良好かもしれないが、車両価格から期待されるスイッチ類の手触りのよさや素材の高級感には欠けている。

広さは妥当ながら、5m級の全長から想像されるほどではない。レンジローバー・スポーツやカイエンを上回る全長とホイールベースを持ちながら、後席レッグルームではそれらを下回る。レンジスポーツが740mm、カイエンが790mmなのに対し、レヴァンテは710mmにとどまるのだ。大人4人が快適に乗るのに不足ないとはいえ、マセラティのパッケージングに関する努力には疑問が残る。

その疑問は、荷室に目を向けると再び湧いてくる。後席使用時の容量は580ℓで、カイエンの745ℓやレンジスポーツの784ℓに大きく水をあけられているのである。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事