フェラーリ・モンディアル 2+2にV8エンジン 現代にはない上品さ
公開 : 2019.05.16 08:40 更新 : 2020.12.08 10:40
番外編:モンディアルのある暮らし
最も過小評価されてきた跳ね馬
自動車エンジニアのジョン・ポグソンは、1975年からフェラーリで働いており、マラネッロの工場で訓練を受けた経験がある。その後、1991年に英国のピークディストリクト国立公園からほど近い街にフェラーリのスペシャルショップ、イタリア・オートスポーツを設立した。V8エンジンを積んたフェラーリ・チャレンジ・シリーズ・レースでの優勝経験もあり、フェラーリF40をドライブして、記録破りの勝利を上げたこともある。そんな彼が、20年以上も前のシルバーのモンディアルQVを愛車としている理由とは。
「このモンディアルは、これまでのフェラーリの中でも最も過小評価されてきたモデルだと思います」 とポグソンは話す。ちなみに彼はディノ308GT4と初期型の456GTも所有している。彼がモンディアルを初めて目にしたのは1980年代初め、マラネッロでトレーニングを受けていた頃だ。後に、モンディアルQVで南仏から英国のヨークシャーへ1日でドライブする機会もあったらしい。出発したのは正午だったそうだ。
「長距離ドライブはこのクルマの得意とするところ。普通のクルマと同じように縦列駐車もできますし、買い物にも使えます。この一風変わった2+2のモンディアルと、他のフェラーリとでは、周囲のひとの反応がまるで違います。例えば、このクルマでガソリンスタンドへ行くと普通に対応してもらえますが、最新のフェラーリで行くとそうはいきません。時には『わたしと同じで、クルマが好きなんですね』というような話題なります。そして、カッコ良いクルマに乗っている、いい人になれるんです」
少し前なら、モンディアルは見向きもされなかったモデルだったこともあり、1万ポンド(138万円)以下で購入することもできた。「つまり、メンテナンスや補修に多くのお金を掛けてもらえなかった、ということでもあります。モンディアルの場合、正しい知識を持たないひとが長年に渡って独自にメンテナンスをしてきた、ということが最大の不具合だといえます。今もその傾向は変わっていません」