遅いクルマの楽しみ方 スーパーカーでなくても楽しめる?
公開 : 2019.05.22 19:10
刺激は薄いが、楽しみ方はある
とはいえ、運転の楽しさを味わいたいときにはどうだろうか。これはまた別の問題である。まず、普通の道ではやや遅すぎると感じた。3気筒エンジンは確かに快活だが、ギア比がトールすぎるのだ。ギアの動きも正確だが、メカニカルなフィーリングに欠ける。追い越しも一苦労で、不用意に減速すれば速度回復にも時間がかかる。
しかし、マクラーレン720Sのようにとてつもなく速いクルマに慣れが必要なのと同じく、逆の意味で慣れてしまえば良いのである。人間はほぼ無限の順応性を持っており、最初はかったるいと感じた遅さもしばらくすれば気にならなくなる。この素晴らしい道を走って見れば、どんなクルマでもそれ相応に楽しめるのだ。
もちろん、マクラーレンはおろかマツダMX-5ほどの刺激はないが、全く無いというわけではない。体でGを感じることもできるし、コーナーでのラインどりを攻めることもできる。不快なクルマや致命的な欠陥のあるクルマは論外だが、幸いサンデロはそのどちらでもない。1トンの金属の塊を走らせることの楽しさは変わらないのである。
アペックスにどれだけ正確に近づけるか。ギアチェンジをどれだけスムーズにできるか。そしてどれだけのパフォーマンスをクルマから引き出すことができるか。そんなことを追求するのがクルマの楽しみではないだろうか。またサンデロには限界走行を気軽に体感できるという魅力もある。スーパーカーではほぼ不可能だろう。