WRCで最も過激だった1980年代 8車8様 グループBの暴れ馬 

公開 : 2019.05.19 10:10  更新 : 2020.12.08 10:40

フォードRS200(1985年)

レイアウト:ミドシップ・四輪駆動
エンジン:1804cc直列4気筒ターボ
最高速度:225km/h

グループBのラリーカーの中でもアイコン的なクルマの一つであり、量産モデルがベースではなく、レギュレーションに合わせてゼロから設計されたラリースペシャルが、フォードRS200。フォード・モータースポーツのトップだった、ステュアート・ターナーによる独創的な発案によるものだった。ボディを制作したのは、イタリア・トリノのジーナ社で、少数でも一定の収益が得られるように図られた。

スペースフレーム・シャシーにミドシップで四輪駆動というレイアウトを具現化させるために、設計に携わったのはF1マシンのエンジニアだったトニー・サウスゲート。コスワースのBDTエンジンをブライアン・ハート社がチューニングし、最高出力はおよそ450ps/8000rpmとなっていた。

グラスファイバー製のボディの製造を行ったのは、3輪乗用車で有名なリライアント社。また、競技用モデルにはケブラーが用いられていた。フロントガラスやテールライト、シフトノブなどは、フォード・シエラの部品が流用されている。

このクルマのオーナーはジェームス・エイビスで、数多のラリーイベントにこのフォードで参戦している。「2002年に、ドイツのアイフェル・ラリー・フェスティバルを訪れた際、ロードカー状態のものを見つけて、英国に持ってきました。当時クルマは壊れており、スウェーデン人のラリードライバー、ビョルン・ワルデガルドが、スペアパーツがあるからクルマを直せると話していたのですが、彼の自宅のリビングルームにこのRS200が置いてあったんです。クルマに触れる時は、白い手袋をするほど、大切にしていました」

ハンドリングに優れたラリーカーであることは間違いなかったのだが、その実力を充分に示す間もなく、1986年にグループBでのラリーは打ち切られてしまったのだった。

ほかにもランチア・デルタS4のほか、今回のイベントには参加はなかったが、日本勢としてトヨタ・セリカGT-TSや日産240RSなどもグループBには存在していた。その話はまた別の機会としたい。

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