WRCで最も過激だった1980年代 8車8様 グループBの暴れ馬
公開 : 2019.05.19 10:10 更新 : 2020.12.08 10:40
フェラーリ308GTB(1981年)
レイアウト:ミドシップ・後輪駆動
エンジン:3185ccV型8気筒自然吸気
最高速度:255km/h
トニー・ワーズウィックは、1982年から1986年にかけて、グループBラリーのヨーロッパ・チャンピオンシップに参戦したクルマで、今もラリーイベントを走っている。「私はこのクルマを、シャシーにダメージを追った状態で購入したのですが、すべて修理しました。ターマックでの競技がほとんどでしたが、当時はモータースポーツの中でとても特別な時代を生きていた、ということには気づきませんでした」 と話すワーズウィック。
当時彼は、イングランド西北部のランカシャーでエンジニアリング会社の経営もしていた。「われわれは英国のフェラーリの正規代理店から多くの支援も受けていました。部品の管理をしていたスティーブ・レイの助けが得られたことは、かなり大きかったと思います。マラッネロのファクトリーチームというわけではありませんでしたが、フェラーリもわれわれの活動を知っていて、非公式に協力してくれていたんです。一度リアを他大破させたことがあったのですが、フェラーリ・デイトナのものを流用した互換部品を送ってくれたこともありました」
クルマのボディパネルは車重を1000kg以下に留めるために、非常に頑丈なカーボンファイバーとケブラー製となっており、エンジンは今はなきF3000に搭載されていたサイドインジェクションのユニットが搭載されている。このフェラーリ308GTBは唯一の右ハンドル車で、ワーズウィックの技術力を投じて、7500rpmで450ps近い最高出力を実現している。「オリジナルのV8エンジンはとても不安定なユニットでした。今の仕様にしたときに、改めて実感しましたよ」