WRCで最も過激だった1980年代 8車8様 グループBの暴れ馬
公開 : 2019.05.19 10:10 更新 : 2020.12.08 10:40
MGメトロ6R4(1984年)
レイアウト:ミドシップ・四輪駆動
エンジン:2991ccV型6気筒自然吸気
最高速度:249km/h
ウィリアムズF1チーム共同創設者でもあるパトリック・ヘッドは、BMCミニの後継モデルといえるMGメトロを、英国のラリーマシンの象徴のひとつに変えた立役者だ。このMGメトロ6R4は、ウォーレン・フィリスキルクとグレイ・フィリスキルクの親子によって所有されているクルマ。「わたしのメトロ6R4は、ジョン・プライスによって1990年にラリー仕様に作り変えられました。BTRDA(ブリティッシュ・トレイル&ラリー・ドライバーズ・アソシエーション)主催のラリーで、1997年に優勝しています」 と話すフィリスキルク。
メトロ6R4はウイリアムス・グランプリ・エンジニアリング社が主に担当し、1985年に生まれたクルマだが、開発予算は充分ではなかった。特注のクワッド(4)カム24バルブ・ヘッドがV6エンジンに載せられ、ミドシップされている。ファーガソン社が堅牢な四輪駆動システムをつくり、チューブラーシャシーのセミモノコックボディに組み合わされている。
ラジエーターはエンジン・コンパートメント内にあり、リアホイールアーチの直前に空いた大きなダクトから空気を取り込む構造で、それがメトロ6R4の特徴でもある、ボクシーなスタイリングを生んでいる。グラスファイバーとアルミニウムで構成された、巨大なリアウィングとリアフェンダーの内側には、メトロのオリジナルボディパネルも残っている。255psのクラブマンと、405psの国際ラリー仕様の2種類のモデルが作られた。
トニー・ポンドがメトロ6R4をドライブし、1985年のロンバードRACラリーで3位に入賞するが、信頼性に欠いたこともあり、目立った成功は収められていない。