大胆にカット 改造費は1349万円 屋根なしレンジローバーに試乗
公開 : 2019.05.22 07:10 更新 : 2019.05.22 08:25
007オクトパシーに登場するクルマ
前置きが長くなったが、オクトバシーに登場するクルマは案外悪くない。不思議な鉄道のセットの中に登場するメルセデス・ベンツ280Sや、当時登場したばかりのアルファ・ロメオGTV6は素晴らしいシーンの描かれ方をしている。映画は終わりに近づくに連れてお決まりの展開となるが、前半に出てくる、屋根のないレンジローバーの存在感も悪くない。
劇中でジェームズ・ボンドは独裁政権が握る南アメリカの某国に潜入するのだが、そこで馬の運搬用のトレーラーを連結した、あずき色の2ドアモデルが登場する。1982年まで生産されていた、初代レンジローバーだ。このシーンで不思議なのが、最高機密の軍事基地で高尚な乗馬大会が開かれていたということだけでなく、登場するレンジローバーに屋根がないこと。しかし、どちらもストーリー展開上、必要な設定なのだと見ていくうちにわかる。
ボンドは敵の基地内でいつものようにスパイ行為を行い、捕虜を乗せたGMC製の六輪駆動トラックで脱出する。相棒の女性、ビアンカが007をバックアップし、トレーラーをつないだレンジローバーを運転してトラックに続く。ちなみにビアンカ役を務めたのは17歳のティナ・ハドソンだった。屋根も窓もないレンジローバーだからこそ、ビアンカは運転しながら、追いかけてくる軍人たちを麗しい太ももで誘惑し、惑わすことが可能だったのだ。
しばらくしてボンドは捕虜の乗ったGMCのトラックから、レンジローバーのリアデッキに飛び移る。これも、屋根がなかったからこそできた技。そこからマシンガンでのアクションを一通り交え、レンジローバーが牽引していたトレーラーに隠されていた、当時最新の小型ジェット機BD5で脱出するのだった。
爽快なスタント飛行に派手な爆発。銃を持ったセクシーな女性がカギを握る展開。映画007の定番要素を上手に盛り込んでいることを考えると、ここに登場するレンジローバーのオープンモデルは、ボンドカーの1台として話題に登ってもおかしくないように思える。しかし実際は完全に見落とされた存在となっている。不思議なことに、007の企画展にも姿を表したことはない。