初試乗 メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック 発売迫る 経験のない静寂

公開 : 2019.05.22 10:10  更新 : 2021.04.27 07:06

他に類を見ない静寂性と優れた乗り心地

運転感覚としては、内燃機関を搭載したSUVと比較して、何か欠けているものがあるわけではない。すでにEVを運転したことがあったり、試乗記を呼んだことがある読者なら、何となく想像がつくものだと思う。しかし、Eトロンやiペース、あるいはテスラモデルXと比較すると、はるかに洗練度は高い。

ところで読者は、すべてのEVが極めて静かに走行するとお考えだろうか。必ずしもそうではない。しかし、このEQCほど一切の音を立てずに走行するEVを、いや、自動車を、今まで運転したことがなかった。空力的に磨き上げられたボディデザインが、高速走行時の風切り音を軽減し、ロードノイズもシャシー側でしっかり遮断してくれている。

加えて低速域でも高速域でも、乗り心地は極めて良い。スロットルレスポンスも極めて良好ながら、アドレナリンが放出されるような、テスラほどではない。ドライバビリティも優れており、走行パフォーマンスは全般的に優れている。反面、ジャガーiペースと比較すると、ペダルを深く踏み込んで運転させた時の反応は、やや劣っているようだ。

正確性やレスポンスの鋭さという点では、SUVという括りの中でも、特に際立ったものではない。しかし、クルマの挙動自体も落ち着いており、予想通りに振る舞ってくれるから安心感がある。メルセデス流といったところ。

そんないいところ尽くめのEQCだが、その複雑さは、購入動機を減退させてしまう要因にはなりえそうだ。ドライブモードは、コンフォート、スポーツ、エコ、インディビジュアル、マキシマムレンジの5種類が用意されている。さらにそこにステアリングホイール裏のパドルで選択が可能な、バッテリーの回生充電プログラムが5段階も用意されている。

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