新型 ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボに試乗 息を呑む速さ 21世紀のGT
公開 : 2019.05.24 10:10 更新 : 2019.05.26 06:11
どんな感じ?
重量級ながら他に例を見ないほど速い
すっかりクルマの基本情報の説明が長くなってしまったが、運転した印象としては、実は通常のカイエンと大きな違いを感じられなかった。既にカイエンのオーナーなら、その相違に心配する必要はないだろう。フロントガラスの高さが薄くなり、後方視界もやや見にくくなってはいるが、その実はカイエンのまま。だが、流石にスポーツカーと比べれば相手にはならないとはいえ、この大型SUVの優れたドライビング性能に関しては、触れておく価値はある。
わずかに重心高は低められているものの、正直、その変化を感じ取ることは不可能だと思う。重心高の違いは、サーキットでならその効果が出てくるとしても、今回の試乗コースとなったオーストリアの一般道では、クーペはいつものカイエンだった。
2tを超える体重を持つクーペだが、物理的な感覚からすると、既成概念を覆してしまうような特別な身のこなしを味わわせてくれることも、通常のカイエンと同じ。深く考えるほど、頭が混乱してくる。地球上でもここまで車重のある、大柄なクルマは限られる中で、カイエンほど息を呑むスピードで地上を走行できるクルマは極めて少ない。しかもどこまでも平然と、落ち着き払った仕草のままで。
今回の試乗車には、PDCCのほかPTV、PASM、4輪操舵システムなどを備えている。しかし、そもそも本質的な卓越した走りの面に関しては、さほど重要な働きをしているわけではない。
走り始めて最初に気づくのは、やや重さを感じるステアリングの操作に対して、極めて敏速に、正確にクルマが反応するということ。大きな慣性を考えればクルマは直進をしたがるはずだが、クルマの鼻先はピタリと狙ったラインを追いかけてくれる。ここでは4輪操舵システムが威力を発揮し、まったくドライバーに違和感を与えることなく、アンダーステアを抑え込むのに必要なだけ、リアタイヤの向きを変化させる。