アウディA6オールロード
公開 : 2012.03.30 14:48 更新 : 2017.05.29 18:18
■どんなクルマ?
2000年に登場したアウディA6だが、これは3代目にあたるA6オールロードとなる。しかし、オールロードはその注目すべきスペックにも関わらず、販売は控えめであった。第1世代・第2世代のA6オールロードは140,000台が生産されたに過ぎない。
第1世代のオールロードは、本格的なオフロード能力を持つ新型よりずいぶんとトンガッた設定がされており、主にハンティングやシューティング用のモデルとして人気があった。A6オールロードが、最も極端な状況下でなければSUVについていくことが可能だということを、そのクワトロ・システムや高さ調整式のエア・サスペンションが証明してみせた。事実、チャールズ皇太子も、「彼と彼女のために」2台の第1世代のオールロードを所有していた。
新しいモデルは、第1世代ほどは頑丈に造られていない。エクステリアは和らげられ、艶やかなスタイルが強調されている。バンバーとサイド・シルのまわりのステンレスのモールドは大きいが、それはアンダー・ボディ・ガードとしてオフロード走行に向けての装備である。オールロードの特徴的なステンレス・グリルと狭いヘッドランプも、その目的を明確にすることに役だっている。
ベースとなったA6アバントに準じて、ヘッドルームが増大し、荷室スペースが大きくなり、ホイールベースは2.9mとなっている。フロント・フェンダー、ボンネット、ドア、テールゲート、インストルメント・パネルの裏のサブフレーム、バンパーバー、クロスメンバー、エンジン・コンパートメント、そしてサスペンション・ストラット・マウンドなどボディの20%がアルミニウム製だ。それらはスチールで造られるよりも15%の軽量化になるとアウディはコメントしている。
ミラノ・レザーやポップアップの衛星ナビなど、その装備はA6アバントとほぼ同一だ。更に、標準装備となるルーフ・レールは、120kgの荷重に耐えるために強化されている。
■どんな感じ?
驚くほど良い。足まわりも軽く感じる。
このクルマの鍵は3.0リッターのV6ディーゼル・エンジンだ。われわれがドライブしたのは英国での売上の85%をしめる241bhpバージョンだが、この他に、より経済的な201bhpと、よりパワフルな309bhpツインターボも用意されている。241bhpヴァージョンのディーゼル・エンジンは、それほど活発ではないが、その回転は滑かだ。スムーズに繋がる7速デュアル・クラッチを通して4輪にパワーは駆動される(リアに60%)が、A6は速く安定した走りを南ドイツの地方の道で見せた。
15mm高められたサスペンションではるが、ロールは高速コーナーであっても少ない。5mの長さと1855kgのボディではあるが、感覚的にはより小さいボディのクルマをドライブしているようだ。
もちろん、キャビンは開放的で、その後ろには大きな容量を持つ荷室が控えている。
■「買い」か?
おそらく「買い」だ。ベンチマークスべきBMW 5シリーズ・ワゴンとメルセデスEクラス・ワゴンと比較しても、アウディA6オールロードには日常的面において有利な点が多々ある。
後輪に偏ったトルク・デリバリーの常時4輪駆動と、スムーズな回転を見せるエンジンは、このクルマを予想外に満足するクルマに仕上げている。
何人かは5シリーズのほうが優れたモデルであると主張するかもしれない。また、アウディの電気アシストのついたステアリングの軽いタッチとデッドなレスポンスが気になるという人もいるかもしれない。しかし、価格の点からしても、オールロードは無感動で控えめな5シリーズよりも勝ることは間違いない。
特に高さを与えられたサスペンションとディセント・コントロールが付いた(残念ながらテスト・ルートでは試すチャンスはなかったが)クワトロ・システムが持つオフロード走破性は魅力だ。とりわけウインター・コンディションでは強い味方となろう。
オールロードは、ひとつはあらゆる路面に対応する能力を持ったクルマであり、もつひとつは経済性に優れたクルマという2つの役割を上手くミックスしたクルマである。
(ヒルトン・ホロウェイ)
アウディA6オールロード
価格 | 44,690ポンド(585万円) |
最高速度 | 235km/h |
0-100km/h加速 | 6.6秒 |
燃費 | 15.9km/l |
Co2排出量 | 159g/km |
乾燥重量 | 1855kg |
エンジン | 直列6気筒2967ccディーゼル・ターボ |
最高出力 | 241bhp/4000rpm-4500prm |
最大トルク | 59.0kg-m/1750rpm-2500rpm |
ギアボックス | 7速Sトロニック |