ロードテスト BMW 320d ★★★★★★★★★★
公開 : 2019.05.26 10:10 更新 : 2019.06.06 00:56
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
X5や新たに加わったX7と同じく、BMWのデザイナー陣は3シリーズのイメージを大胆に新たな方向性へとシフトした。前の世代の多くのモデルを特徴付けた、万人受けする繊細な感覚はないかもしれない。
クラシックな3ボックスのフォルムは健在で、テスターからはディテールがレクサスっぽいという指摘もあったが、BMW以外の何かと見間違うことはないはずだ。ただし、先代のF30に比べると、3サイズとも拡大している。このクラスのクルマを選ぶのにコンパクトさを重視するユーザーには敬遠されるかもしれない。4.7mの全長は先代より85mm長く、ミュンヘンの歴史に残るE39型5シリーズより66mm短いだけだ。ホイールベースは41mm延長され、後席スペース拡大に充てられた。
このサイズ拡大にもかかわらず、車両重量は55kgの軽量化を達成。これは、アルミを多用したクラスター・アーキテクチャー・プラットフォーム(CLAR)の採用によるものだ。320dのATモデルの公称重量は1455kg、ミルブルックで計測したテスト車はオプション満載のMスポーツ仕様で1639kg。前後はもちろん、四輪の重量配分もほぼ均等だった。
シャシーの大幅なアップグレードは、3シリーズ運動性における優位性を維持するために行われた。トレッドは前後とも広げられ、前輪のネガティブキャンバー角も増した。ボディ剛性を高め、新開発のリフト・リレーテッド・ダンパーを導入することで、ミュンヘンのエンジニアたちは、ボディコントロールと乗り心地の両面をさらに磨き上げている。
エンジンラインナップの大半は、ガソリンもディーゼルも2.0ℓユニットで、英国ではそれに加えて265psの直6ディーゼルを積む330dが設定される。テスト車の320dは、191psと40.8kg-mを発生する直4ディーゼルを搭載し、8速ATを介して後輪を駆動する仕様だ。ツインパワー・ターボを名乗るこのディーゼルユニットは、マルチステージ式シーケンシャルターボを採用し、ツインスクロール式やパラレルツイン式よりも優れたレスポンスと効率を求めている。
320dでは後輪駆動か四輪駆動かが選択できるが、近く登場するハイパフォーマンスモデルのM340iはxドライブこと4WDシステムが標準装備となる。Mスポーツ仕様には可変レシオのステアリングが備わるが、アダプティブダンパーはオプション設定。テスト車は、パッシブダンパー仕様だった。