ロードテスト BMW 320d ★★★★★★★★★★
公開 : 2019.05.26 10:10 更新 : 2019.06.06 00:56
操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
結論を先にいうなら、アルファ・ロメオ・ジュリアよりも安定していて確実、ジャガーXEよりもフラットで軽く、しかも緊張感あるフィーリング、そして比較対象となるどんなセダンよりも自然な動きで、落ち着きがあり、操縦性がダイレクトだ。では、320dの走りがどんなものか、典型的な英国の道路でどんな走りをみせたのかをお伝えしよう。
ステアリングは、とくに可変レシオ機構が標準装備されるMスポーツ仕様では適正な速さで、しかしギア比の高まりを受けるリムには、操作の役に立つ身の詰まった手ごたえもある。ステアリングのペースは唐突ではなく、徐々に速くなるものだ。それらが相まって、フロントアクスルのコントロールはすぐにも直観的に感じられ、まもなくステアリング操作を楽しめるようになる。
高速道路でのスタビリティは最高で、ハンドリングの正確さは並外れて優れている。横グリップのレベルは総じて高いが、できのいいスタビリティコントロールをオフにしても後輪を滑らせたりブレークさせたりできないほど高いわけではない。
そのため、BMW3シリーズに期待される後輪駆動ならではのハンドリングの魅力が見て取れた。この手のクルマとしては明らかに固いスプリングと高い横剛性もあって、きわめて歯切れよくコーナリングしながらも、大きな横荷重がかかってさえも一級のシャシーバランスやステアリングが損なわれることはない。シャシーはドライバーを乗せて激しく転がり、エンジンは低いギアで駆動輪がホイールスピンしはじめるのにちょうどいいくらいのパワーを発生し、このクルマのハンドリングを鮮烈ながらも温和なものにする。
先進のドライバーズエイドやサイズ拡大を続けるタイヤが、すべてのBMWに重要な楽しさを失わせはしないか、という心配は無用だ。すべては正しくそこにある。セールスポイントの説得力もそのままだ。