初試乗 ポルシェ911スピードスター 510psの4ℓ自然吸気 受け継がれる哲学
公開 : 2019.05.27 10:10 更新 : 2019.05.29 15:03
どんな感じ?
クラシックなインパネに918スパイダーのシート
スピードスターという名前どおり、ドライバーズシートに滑り込めば、時代がさかのぼったような錯覚がある。直径360mmの小ぶりなステアリングホイールには、一切のスイッチもパドルも付いていない。クルマの進路を定めるためだけの機能に徹している。
インスツルメント・パネルにの中央にはイタリック体のフォントが用いられたタコメーター。新しい992型の911と比べると少し古びて見えるが、いかにもスピードスターっぽい。メモリは二桁まで刻まれている。足元を覗けば、いかにも操作しやすそうなペダルが3枚並び、右手元に配されたシフトレバーは明らかに短い。試乗車は、左ハンドルだ。
座り心地のすこぶる良いシートは、限定生産のハイブリッドスーパーカー、918スパイダーに採用されていたもの。一度腰を掛ければ、いつまでも座っていたいと思うはず。そして天気が良い休みの日なら、思いっきり外界の空気を肌で感じたいと、居ても立ってもいられなくなるだろう。
ポルシェはこのスピードスターに、必要最低限のルーフしか持たせるつもりはなかった。オリジナルは2014年のコンセプトカーに遡るが、おかげでシート後部の流線型のバットレス、ふたつのコブの高さを低くすることが可能になっている。しかし、実用性の面ではやや難点があることも事実。だがソフトトップを掛けることになったとしても、なぜかスピードスターは速く見えるクルマだと思う。