初試乗 ポルシェ911スピードスター 510psの4ℓ自然吸気 受け継がれる哲学
公開 : 2019.05.27 10:10 更新 : 2019.05.29 15:03
手動式ソフトトップもスピードスターらしい
電動で折り畳めた997型のスピードスターとは異なり、991型のスピードスターはドライバー自らの手で屋根を掛ける必要がある。重さはわずか10kgだから、作業に必要な時間は約20秒とされており、さほど雨に濡れる心配もない。
取り出すには大きなリアデッキを開ける必要があるが、軽く引き上げると裏返しにしまわれていたソフトトップがくるりと回転して出てくる。雨が降ってきたらわざわざクルマを停めて、ソフトトップを手動で引き出すなんて、と嘆かないで欲しい。この手をわずらわせるような作業が、スピードスターのフィロソフィーにピッタリ一致していると思う。
このスピードスターを生み出すに当たって、主導的に動いたのがポルシェのGT部門を率いているアンドレアス・プレウニンガー。彼は1987年の、930型ビッグバンパー、Gシリーズ・スピードスターの開発にも腐心したエンジニア。その後996型と997型の911でスピードスターの計画を立案するものの、どちらも日の目を見ることはなかった。実はオリジナルのスピードスターも、個人的な強い思いから誕生したクルマだったりする。これも新しいスピードスターが受け継いだフィロソフィーといえる。
クルマの成り立ちを考えれば、スピードスターの路上での走りは、熱中せずにはいられないものだということは、想像に難くない。パフォーマンスも必要以上のものが備わっている。ターボ過給される600psを叩き出すような、現代のスーパーカーほどの即時的な瞬発力には欠けてはいる。しかし、スロットルレスポンスと、リニアなパワーデリバリーは折り紙付き。
クルマの性格は極めて鋭く、コーナリング中にはクルマのバランスを感じ取れる、本物のドライビング・センスが求められる。ポルシェが公証している最高出力は510psとなっているが、少し低く算出し過ぎなのではないだろうか。