マクラーレンP1、15の事実

公開 : 2013.05.28 16:01  更新 : 2017.06.01 01:54

今年後半にいよいよ市販されるマクラーレンのハイブリッド・ハイパー・モデル、P1だが、その技術的な15の事実を紹介しよう。

1. マクラーレンではモノケージと呼んでいる90kgのカーボンファイバー・タブは、オートクレープ製法とレジン・トランスファー・モールディング製法を組み合わせた一体成型だ。そのモノケージは、基本となるタブに、バッテリーと電子システムのためのスペースと、ルーフに付けられたシュノーケルがセットだ。最も強度の優れたチタンの5倍以上の強度という6000メガパスカルの炭素繊維で形成される者ケージの強度は鉄の2倍となる5000ギガパスカルの硬さを持つ。

2. フロントとリアという2つのクラムシェルがモノケージに取り付けられる。そのカーボンファイバー・モールディングは指2本でつまめるぐらいの軽さを持つ。

3. 重量軽減のための施策はフロント・ガラスも例外でない。プラスティックの中間層を含むその厚さは3.2mm。それはMP4-12Cよりも1mm薄く、重さは3.5kg軽い。

4. インテリアに使われるカーボンファイバーは、トップのラッカー塗装が省かれている。このことによって1.5kg軽量化に繋がっている。

5. 2つのシートの重さは10.5kg。シートバックは28度で固定されている。前後方向は手動で調節が可能。シートの高さはドライバーに併せてカスタムでセットアップされる。なお、レースで使用する場合は、そのヘルメットのスペースを考慮してシートバックを32度にすることもできる。

6. MP4-12Cに搭載されるM838Tをベースにしたターボ付きの3.8ℓのV8は、M838TQと呼ばれるが、M838Tと比べても90%が新しいパーツで構成される。その変更点は、クランクトレーン、フューエル・システム、シリンダー・ヘッド、ブロック・デザイン、トランスミッション、ターボ・システムなど多岐にわたる。ターボチャージャーはおよそ980℃で動作するが、エグゾースト出口では900℃となる。

7. そのエレクトリック・ブースト・システムは当初F-1と同様にKERSと呼ばれていた。しかし、現在はIPAS(インスタント・パワー・アシスト・システム)とネーミングされている。電気モーターは26kgの重さで、パワーはKERSシステムの2倍以上。KERSが81bhpなのに対し、IPASは176bhpを生じる。

8. IPASのバッテリーは、それぞれ54のセルからなる6つのモジュール(合計324セル)で構成され、その重さは96kgだ。充電状態が均衡になるために、バッテリー・マネジメント・システムは、それぞれのセルの間で互いに充電が行われる。P1はモーターのしゅつりょくだけで最高160km/hのトップスピードを得ることができ、ヨーロッパで定められた複合モードで10km以上の走行が可能だ。また、バッテリーは正しく使われるのであれば、その寿命は10年という。

9. 電気モーターのパワーは、スロットル・レスポンスをシャープにし、そしてパワー・アップも同時に行う。”ブースト”ボタンを押すことで、最高20分間にわたり176bhpのパワーがプラスされる。

10. バッテリーは通常エンジンから充電されるが、外部電源を使用することによって空の状態から2時間でフルチャージできる。また、より高速なピットレーン・チャージを使用すれば10分間でフルチャージが可能だ。また、マクラーレンはブレーキからの回生エネルギーを採用しないことにしている。というのも、ブレーキ・フィーリングが犠牲になるからだ。

11. 街中からサーキットまで、MP4-12Cのものを更に進化させたレース・アクティブ・シャシー・コントールと呼ばれるハイドロニューマチック・プロアクティブ・サスペンションによって良好な乗り心地が確保される。また、このサスペンションは、レース・モードではその車高が50mm低くなる。ロード・タイヤであっても、コーナリングでは2Gの横Gを生み出す。

12. オンロードでは120mm、サーキットでは最大300mmまで伸長するリア・ウイングは、最大角度29度で、600kgのダウンフォースをもたらすことができる。このダウンフォースは257km/h時に最大となる。257km/hで最大になる理由は、実際に存在するサーキットでの現実的なコーナリング・スピードを考えた結果だ。

13 . DRS(ドラック・リダクション・システム)は、F-1でも使われるシステムだ。ステアリング・ホイールのボタンによって0.5秒以内にリア・ウイングをフラットにすることができるもの。ドラッグは23%軽減される。ドライバーがブレーキを踏むか、ステアリングをある程度以上動作させるとキャンセルされる仕組みだ。

14. F-1からのフィードバックがブレーキ・ステア・システムだ。1997年のF-1マシン、MP4-12に搭載されたシステムで、その後、F-1ではパフォーマンス面でのアドバンテージが明確であるため使用が禁止されたもの。そのシステムは、P1があまりに速くコーナーに侵入した際に内側の後輪にブレーキを掛けるESCシステムのハードウェアを使用したもの。

15. カーボン・セラミック・ディスク・ブレーキは、最も高い高度を持つ物質としても知られる炭化ケイ素を多く含むサーフェス・レイヤーが設けられている。このブレーキは2Gの減速Gを発揮する。

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