新型ポルシェ911(992) 日本人ジャーナリストの評価 大谷達也編 海外試乗
公開 : 2019.05.28 10:10
ワインディングロードの印象
ワインディングロードでは後輪駆動のカレラSで限界に近いペースで走っているのに、一新されたシャシーは荒れた路面でも安定したグリップを引き出し、ステアリング舵角一定のままきれいにコーナーをクリアしていくのだ。
これは限界付近で常に細かな修正が必要だった従来のカレラSとは大きく異なり、4WDのカレラ4Sに極めて近いキャラクターといえる。
実は、同じワインディングロードを後ほどカレラ4Sで試走してみたのだが、その感触はカレラSとまったく変わらなかった。
おそらく、たとえば雨で濡れているなど路面が滑りやすい状況であればカレラ4Sの優位性が認められたのかもしれないが、少なくともドライであればカレラSとカレラ4Sに差は感じられない。これはかつてなかったことである。
サーキットではカレラSのみに試乗したが、テールスライドの始まり方と終わり方が実に穏やかでコントロール性はさらに高まったように感じた。
このような経験をした後だったので、シャシー・エンジニアの言葉をわたしはすっと呑み込むことができた。「幅広いコンディションでより高いスタビリティを生み出す」。これがタイプ992の真骨頂であると見て間違いないだろう。