なぜポルシェはリアエンジン車を作り続けるのか 継続でみえた可能性 再び主役に?

公開 : 2019.05.28 11:50

1周回ってRRが再び主役に?

AWD化以外にもポルシェ911、RRのメリットは代替わりするごとに増している。

現代の自動車シーンではすっかり当たり前になったスタビリティコントロールの恩恵を最も大きく受けているのは限界域でナーバスな挙動に陥りやすい911であるに違いない。

一方後輪を操舵することで実質的にホイールベースを可変させドライバビリティを高めるリアステアの恩恵も、FFやRRといった割り切ったレイアウトに対して特に有効だ。今日において自動車のスタイリングを決定づけている印象がある歩行者保護の規則に対しても、RRやミドシップは有利に働く。

昨今、自動車テクノロジーの最先端とRRが再び結びつきそうな気配は、EVシーンに満ちている。レシプロ・エンジンを搭載したクルマとしてはポルシェ911とルノートゥインゴスマート・フォーフォー以外に存在しないRRレイアウトだが、ことEVの世界ではBMW i3やスマート・フォーツー・エレクトリックドライブなど、それほど珍しくはないのである。

モーターとアクスルを一体化させ、一方バッテリーはフロアに敷き詰めるかセンタートンネル内に詰め込むというEVの常套レイアウトを、そのままポルシェ911のプラットフォームに当てはめるのに大した想像力はいらないはずだ。

今年9月のフランクフルトショーでお披露目されると噂されているポルシェタイカン。この4シーターEVスポーツカーからリアドアとフロント側のモーターを省くと、そこにEV版のポルシェ911が現出する(?)と考えるのは時期尚早だろうか。

ともあれ、かつては厄介者扱いされ、誰も手を出さなかったRRレイアウトは、ポルシェ911によってのみ生き長らえ、今まさに1周回って脚光が当たりはじめているのである。

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